
あかねが泣いている。
今朝、小鳥が死んでいることに気付いたからだ。
先日、傷ついた小鳥が地面でもがいているのを見つけて、家に連れ帰って傷の手当てをしてあかねが世話をし続けていた。
頼久としてはそんなあかねがかわいらしいと思う反面、情けないことに小鳥に嫉妬したりもしていたのだが…
怪我のせいかもともと弱っていたのか小鳥はとうとう死んでしまっていた。
あかねは傷の手当てのために傷薬を捜したが、この京ではあかねが望むような傷薬は見つからず、頼久が愛用している薬草を使ってみたのだが小鳥は死んでしまった。
足と羽が折れていたし、かなり流血もしていた。
頼久の見立てでは助かる確率の方が低かった。
それでも懸命に看病するあかねはあきらめようとしなかった。
あかねはそういう女性だ。
だからこそ頼久は一生をかけてそばにいたいと思ったのだし、一生の伴侶にと望みもしたのだ。
だが、そんな頼久にとって唯一無二のあかねは今、両手で優しく小鳥の体を包み込むようにして泣き続けている。
自分の治療が悪かった、世話の仕方が悪かった、かわいそうなことをした、そんなことをつぶやきながら泣いているのだ。
そんなあかねを痛々しく思いながらも、泣きくれるその姿があまりに美しく清らかで、頼久は思わず見惚れてしまう。
流れる涙はまるで宝石のようで、やわらかく小鳥を包み込むその手は果てしなく優しくて。
ほっそりとしたその体も、泣きはらして赤くした目も、何もかもが美しくて。
だが、やはり泣いている姿を見るのはつらくもあって…
頼久は思わずあかねの細い肩を優しく抱きしめていた。
「泣かないで下さい。」
「でも、でも…。」
「では、この頼久の胸で気が済むまでお泣き下さい。この胸はいつでも神子殿のために在るのです。」
あかねは頼久の胸に顔をうずめて声を殺して泣き続けた。
そんなあかねを抱きしめながら頼久は思う。
その涙はあなたをより美しくするでしょう、より優しくするでしょう、より輝く女性へと成長させるでしょう。
そうとわかっていてもあなたの涙はつらいのです。
だからせめて、この胸があなたの悲しみを少しでもやわらげることができればと願わずにはいられないのです。
頼久が静かに泣くあかねを抱くこと数分。
その胸から顔を上げたあかねは悲しそうに微笑んでいた。
「頼久さん、この子、この庭に埋めてあげてもいいですか?」
まだ充分につらそうなあかねの言葉に頼久はすぐにうなずいた。
「お手伝いいたします。」
そう答えた頼久に、今度こそ本当の笑顔を見せたあかねはぎゅっと小鳥を抱きしめた。
そんなあかねにほっとして頼久は庭の片隅に小鳥の墓を作るべく地面を掘り始める。
悲しみを一つ乗り越えたあかねがいっそう美しく、強くなったことを確信しながら。
管理人のひとりごと
一行、加筆しました。
どうしても納得いかなくて加筆(汗)
泣いているあかねちゃんに見惚れる頼久さんを書きたかっただけ(爆)
泣いている姿が清らかな人、素敵だと思います。
あかねちゃんはそういう女性だろうなぁと(笑)
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