忠犬
 とある日曜。

 外はもう春の陽射しが暖かくて、とても気持ちがいいというのにいつもの面々はいつものように頼久宅のリビングにいた。

 何をするわけでもなく天真は一人コーラを飲みながらぼーっと目の前にいる3人を眺めている。

 あかね、蘭、詩紋の3人はさっきからテレビ番組に釘付けだ。

 テレビでやっているのはかわいい子犬特集。

 画面に次々に現れる愛らしい子犬を特に女性二人は目をキラキラさせて見つめていた。

「かわいいよねぇ、私はやっぱりゴールデンレトリバーがいいなぁ。」

「いいよねぇ、ゴールデンレトリバー。」

 そんな会話を交わしながらあかねと蘭は楽しげだ。

「詩紋君はどの犬が好き?」

「ボクはプードルかなぁ。」

「うんうん、プードルもかわいいよねぇ。」

 盛り上がる3人を見て天真はあきれたように溜め息をついているが、対して家主の頼久はというとこちらはなんとも言えず幸せそうに微笑んでいる。

 どうせ神子殿はなんとお可愛らしいとかなんとか思っているのだろうと天真があきれていると、その目の前であかねが深々と溜め息をついた。

「はぁ〜。」

「どうしたの?あかねちゃん。」

「もう、すっごくかわいいんだもん、見れば見るほどかわいいんだもん、犬、飼いたいなぁ。」

 あかねが本当に残念そうにそう言って溜め息をつくと、天真、蘭、詩紋の3人は何も言わずに視線を交わし、そのまますっと3人同時に頼久を見た。

 当の頼久はというと、眉間にシワを寄せて何か考え込んでいる。

 神子殿のこの憂いをどうやってお晴らし申し上げればいいか、とかなんとか考えているのだろうことは見え見えで…

 3人はもう一度視線を交わしてそれから、あかねと頼久を見比べて、同時に深い溜め息をついた。

 3人同時に心の中で「犬みたいなのはもう飼ってるから」とつっこんでいることは言葉で言わなくても3人には先刻承知だ。

「あれ、どうしたの?3人とも。」

「あかねちゃんさ、犬じゃないけど犬みたいな人が側にいるからとりあえずそれで我慢するといいよ。」

「犬みたいな人?」

 あかねが小首を傾げると3人の視線は再び頼久へ…

 つられてあかねが頼久を見て一瞬キョトンとすると次の瞬間、3人が言いたいことに気づいて顔を赤くした。

「よ、頼久さんは別に犬みたいじゃないよ!」

「いやいやいや、十分、忠犬だろ。」

「ち、違うってばっ!頼久さんも何とか言ってください!」

「いえ、私が犬に似ていることで神子殿にお喜び頂けるのでしたら…。」

 と、真剣に言いながら微笑む頼久。

 これはもう重症らしいと3人が再び溜め息をつく中、あかね一人が顔を真っ赤にしていかに頼久が犬とは違うかを力説し始めた。

 そんなあかねを幸せそうに見つめる頼久の頭にはふかふかの毛が生えた耳が、そしてその後ろにはあかねに向かってふりふりしているしっぽが3人には見えた気がした。




管理にんのひとりごと

尻尾をふりふりしている頼久さんを管理人が想像してみただけ、じゃないですよ(’’;
他サイト様ではかな〜り犬扱いされているしコミックスでも犬扱いされていたので(笑)たまにうちでもと(’’)
私もね、頼久さんは忠犬だと思います(爆)





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