
「ねぇねぇ、いいじゃない、ちょっとくらい、見せてよ。」
「お前もいい趣味してんなぁ。」
「う、うん、蘭さん、そういうものってあんまり人に見せるものじゃ…。」
「えー、いいじゃない。あの無口で寡黙で無愛想な頼久さんがどんなメール出すのが見てみた〜い。」
「ぶ、無愛想じゃないもん…。」
「あかねちゃんの前でだけね。」
と、これは下校中のあかね、天真、詩紋、蘭の四人。
何気なくあかねが、頼久さんがメールで今日は仕事で外出するから今は留守ということを知らせてきたと話したものだから、好奇心旺盛な乙女の目が輝きだしてしまったわけで…
兄と兄の後輩が止めるのも聞かず、蘭はキラキラの眼差しであかねを見つめていた。
「見せてもいいけど、そんな、普通だよ?蘭が期待するような面白い内容じゃないと思うけど…。」
これはもう逃がしてはもらえないと観念したあかねはカバンの中から携帯を取り出してピコピコと頼久からきたメールを呼び出す。
「いいのいいの。あの鉄面皮からは想像もできないようなあま〜〜〜〜いセリフが見れるだけで満足なの!」
「て、鉄面皮って…そんなことないもん…。」
「あかねちゃんの前でだけね。」
うっ、と言葉を詰まらせながらあかねはメールの一つを開いて蘭に携帯を渡した。
「よしよし、それでよろしい。どれどれ。」
「女って恐いよなぁ、こうやって男の弱み握ってくんだぜ、絶対。」
「……蘭さんだけだと思うけど…。」
詩紋にきっと鋭い一瞥を投げて牽制した蘭はウキウキ顔でメールに目を通す。
『おはようございます。本日は午後から天候が崩れるそうですので傘をお持ちになった方がよろしいかと思います。一日健やかに過ごされますよう。』
「……。」
「どうした?なんだよ、なんて書いてあったんだよ。」
メールを読み終わってかたまる蘭から携帯を取り上げて天真は妹と同じようにかたまった。
「ま、まさかな、毎回これってことはねーだろ。」
と、次のメールを開く天真。
『さきほどは丁寧なお返事、有難うございました。本日は仕事も終了し、くつろいでおります。神子殿も安らかであられますよう。』
「……。」
いつの間にか天真の後ろから覗き込んでいた詩紋も凍りつく。
「な、何?普通でしょ?」
慌てるあかねをよそに天真は次々にメールを開いていき…
『おはようございます。本日は一日快晴とのこと、体育の授業でお怪我などなさいませんよう。』
『今時分は昼休みをお取りでしょうか、晴れていますので外でお食事などなさっていらっしゃるのでしょうか?私は縁側で神子殿が作り置きして下さったサンドイッチを頂きました。大変、美味でございました。有難うございました。』
『添付して頂いた写真、とても美しく感動いたしました。同じ花を庭に植えてみようかと思いますがいかがでしょうか?』
次から次へと飛び出すとんでもなく予想外のメールの数々に三人は深いため息をついた。
「…………。」
「な、何?三人とも。」
「事務連絡じゃねーんだからよ……。」
「お兄ちゃん、頼久さんにラブレターの書き方から教えてあげて。」
「あかねちゃんがこれで幸せなら僕は別にいいと思うけど……。」
天真、蘭、詩紋はそれぞれそうぶつやいて深いため息をついた。
「え、何?どうして?普通でしょ?」
一人おろおろするあかねに三人はまた深いため息をつき、同時に心の中で同じことをつぶやいていた。
(二人とも天然だからなぁ)
そしてもう二度とあかねと頼久がどんなメールのやり取りをしてるかなんて気にするものかと心に誓う三人だった。
管理人のひとりごと
いえ、私が気になったんです。
頼久さんがどんなメールを出すのか(爆)
まぁ、頼久さんのことだからメールであま〜〜い言葉はまずないだろうと。
一緒にいられない間、きっと目いっぱいあかねちゃんの心配をしているんだろうなぁ。
というのが結論。
すると事務連絡なんだか保護者のメールなんだかわからないことに(爆)
ちなみに天真君にラブレターの書き方教わるのは無理だと管理人は思います(’’)
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