
頼久が扉を開けると張り切って中へ入ってきたあかねは羽織っていた薄手のコートを脱いですぐにカバンの中からDVDを取り出すとそれをプレイヤーへセットした。
実は先週末、学校でテストが行われたせいで二人でゆっくり会う時間が取れなかったのだ。
おかげで今日は二週間ぶりに二人でゆっくり過ごせる週末になり、あかねは張り切って二人で見る映画のDVDを選んできたというわけだった。
「さぁ、今日は一日中ずーっと一緒に映画観ますからっ!」
そう言ってはりきったあかねはすぐ台所で紅茶を入れてテーブルの上に置くとリモコンの再生ボタンを押した。
頼久は苦笑しながらあかねの隣に座る。
二人でDVD鑑賞をする時は頼久はいつもあかねの隣に座ることにしていた。
向かい側に座ってあかねに見惚れていたら、ちゃんと映画を観ているのかとあかねに叱られたことがあるからだ。
気合を入れて画面に向かうあかねの隣で頼久は穏やかな微笑を浮かべていた。
今あかねが隣に座ってくれている。
二週間もゆっくり会う時間がとれなかった頼久にとっては、今はそれだけでも十分に幸せなのだ。
頼久は半分はあかねにみとれたまま、あかねは思い切りDVDに集中すること二時間。
あかねの大きな瞳から涙が流れた。
最近のあかねは映画を観るとよく泣くから頼久も慣れたもので、テーブルの上のティッシュの箱を差し出した。
あかねはティッシュを受け取って涙を拭きながらしゃくりあげている。
見ていたのは悲恋ものの映画で、あかねはこういう映画が好きだ。
「大丈夫ですか?」
エンドロールが終わってもあかねが泣き止まないのでDVDを停止させた頼久はさすがに心配になってあかねの顔をのぞきこんだ。
真っ赤に泣きはらしてうるうると光る瞳が頼久をとらえる。
「かわいそうで…死んじゃうなんて…。」
「まぁ、悲恋ものの映画ですから…。」
「大好きな人が死んじゃってそれから何十年も一人で生きて…そんなの私は絶対無理です…悲しくて死んじゃう…。」
そう言って更に激しく泣き始めるあかねの肩を頼久が優しく抱き寄せれば、あかねは頼久の胸に顔をうずめてしくしくと泣いた。
京で命をかけて戦ったことがあるからこそこんなにも死について真剣にお考えなのだろうと考えて、頼久は静かにあかねが泣きやむのを待つ。
そして数分間泣き続けたあかねはやっと涙をおさめて顔を上げた。
「ごめんなさい、一緒にいる時に悲しい映画観ちゃって。」
「いえ…。」
「でもだめなんです。」
「はい?」
「家で一人でこういう映画観ると凄く暗い気持ちになっちゃってだめなんです。ずっと泣いてるし。でも、頼久さんと一緒なら大丈夫だから。」
涙をぬぐったあかねはそういってぱっと微笑んだ。
その笑顔が今までの泣き顔とはうってかわって輝かんばかりに美しくて、頼久は一瞬言葉を失うほど見惚れて、そして無意識のうちにあかねを抱きしめていた。
自分が一緒ならば悲しい思いをしても大丈夫だと微笑んでもらえたことが嬉しくて。
輝く笑顔を今は腕の中に閉じ込めておきたくて。
そのままあかねが息苦しさを覚えるまで頼久は自分の腕の中にあかねを閉じ込め続けた。
管理人のひとりごと
そりゃ目の前にいるあかねちゃんが泣いてたらもう頼久さんにとっては大事件です(笑)
でも一緒にいれば大丈夫なんていわれちゃったら点にも昇る心地です(爆)
あかねちゃんは女の子なのでそりゃもう恋愛ドラマとか色々見るんですが、感動して泣いちゃうこともしばしば。
でも今は一緒にいて慰めてくれる人がいるから大丈夫なのでした(^^)
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