
書斎で仕事をしていた頼久は着信音を耳にして慌てて携帯を手に取った。
着信音からして間違いなくそれがあかねからの電話だったから。
「はい。」
『あ、こんばんわ。あかねです。あの、今日はそっちに行けなかったから…。』
電話の向こうから聞こえてくる申し訳なさそうな声を聞いてさえ、頼久の顔はいつの間にかほころんでいた。
ここ数日あかねが忙しくて会うことができずにいるのだが、昼間寂しく思っているだけにこうして声だけでも聞けるとどうしても喜んでしまう。
「いえ、お気遣いなく。私も仕事の追い込みをしておりますから。」
『あれ…』
「どうかなさいましたか?」
『あ、いえ、なんでもないです。気のせいかも。あ、そうそう、明日もちょっといけそうにないんです。蘭にどうしても買い物つきあってくれって言われちゃって。』
「承知しました。ゆっくり楽しんできてください。私も仕事を終えてしまいますので。」
『はい、ごめんなさい。明後日は絶対行きますから!』
「お待ちしております。」
二人で「おやすみなさい」と最後に挨拶をして電話を切ると、頼久はそのまま深い溜め息をついた。
明日もあかねに会えないと思うとなんだか急に疲れが出たような気がする。
今日は仕事が残っていてもこれで寝ることにしようと決めて、頼久は着替えを始めた。
耳にあかねの声が残っているうちに眠ってしまいたかった。
頼久は寒気がして目を覚ました。
いつの間に夜が明けたのか天井は明るく見えた。
「あ、目が覚めました?」
幻聴かと思って頼久が体を起こそうとすると、だるくて思うように動かない。
そんな頼久の肩をそっと押さえてあかねの心配そうな顔がのぞきこんできた。
「神子、殿?」
「昨日の電話でなんだか声がおかしかった気がして、心配になってきてみたんです。そしたらやっぱり頼久さん熱出して寝てるんですもん。びっくりしました。」
「神子殿、今日は買い物の約束がおありだったのでは?」
「熱出してる頼久さんを放ってなんか行けませんよ。あとでおかゆ作りますから、もう少し休んで下さいね。」
「申し訳ありません…。」
「いんです、私もやっぱり会いたかったから…。」
そう言ってあかねは頼久にきちんと布団をかけて部屋から出て行った。
頼久はあかねの後姿を見送ってすぐに目を閉じた。
夢ならば覚めてほしくはなかったから。
夢でないならば、一度眠って起きた時にはもう一度あかねの愛らしい顔を見ることができるだろうから。
会えないと思っていた恋人に会えたせいか、頼久はいつの間にか熱からくる寒気さえ消えたような気がしていた。
管理人のひとりごと
もうね、声でわかっちゃうんですよ、体調なんて(w
頼久さんが熱出すなんて珍しい!
きっと風邪とかじゃなくて、あかねちゃん会いたい熱です(’’)
だって、そう簡単に病気する人じゃないもの(マテ
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