
「頼久さん、今日の晩御飯、何食べたいですか?」
「私は神子殿が作って下さるものでしたらなんでもかまいませんが…。」
「そう言うと思った。これでも一応花嫁修行中なんです!今のうちに好きなもの言っておいてください!」
「はぁ…。」
あかねはリビングのソファに座って大きな本のページをめくっている。
ここへやってきてからずっとそんな調子だ。
あかねが見ているのは料理の本。
和食料理ばかりが載っているのはもちろん頼久の好みを考えてのことだ。
どうやらあかねは何を作ろうかと夢中になってページをめくっているようで。
対する頼久はというと花嫁修行などとさらっと言われて、嬉しいような恥ずかしいような想いで微笑んでいた。
「肉じゃがはこの前作ったし…これいきましょうか、きんぴらごぼう。作ったことないですよね。」
「はい。」
「頼久さん。」
「はい?」
「ちょっとこっちへ来て一緒にちゃんと考えて下さい。」
そう言いながらあかねはぽんぽんとソファの自分の隣を叩いて見せた。
あかねの方から隣に座ってくれと言われては頼久が抵抗するはずもなく、すぐに愛しい恋人の隣に腰を下ろすと一緒になって料理本を覗き込んだ。
「これもいいかも、生姜焼き、どうですか?」
「いいですね。」
「本当にいいと思ってます?」
疑わしそうにあかねが自分を見上げるのが愛らしくて、頼久の顔はゆるみっぱなしだ。
「揚げ物とかきらいでしたよね…今だと魚は秋刀魚がおいしいのかなぁ。」
「旬ではないかと。」
「じゃぁ、これ行きましょうか、秋刀魚の蒲焼。」
頼久があかねの開いたページを覗き込んでみると、どうにも蒲焼というものは手間がかかる料理のようだ。
だいたい、あかねが上手く魚をさばけるという話は聞いたことがない。
頼久はおそらく魚などさばいたことがないだろうと予想してあかねがめくっていたページを戻した。
「頼久さん?」
「やはりこれが食べたいように思います、作って頂けますか?」
頼久が開いたのはさきほどの生姜焼きが載っているページだった。
あかねは頼久が自分の意見を主張してくれたことが嬉しくて、思い切りうなずくと嬉しそうに微笑みながら頼久の顔を見上げた。
「わかりました。おいしいの作りますね。だから、買い物、一緒に行ってくれますか?」
「喜んでお供させて頂きます。」
二人は互いに嬉しそうな笑みを浮かべて立ち上がると、手を取り合って夕飯の買い物へと出かけていった。
管理人のひとりごと
頼久さん、ご飯を食べるにもあかねちゃんに気を使っているようです(’’)
まぁ、元々が仕えてた人ですからね、これくらい朝飯前です。
きっと普通の生活ではもっともっと細かいところに気を使ってます!
絶対マメな気配りやさんだと思うのです(w
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