頼久はいつものように玄関の扉の向こうに愛しい気配を感じて立ち上がった。
急いで玄関に向かい、扉を開ける。
案の定、扉の向こうから姿を現したのは、可愛らしい薄いピンクのワンピースを着たあかねだった。
小さな赤いバックを手に、ワンピースの半袖から伸びる白くて細い腕がまぶしくて頼久は少しだけ目を細めた。
「ようこそ、神子殿。中へどうぞ。」
「……。」
いつものように半身を引いて頼久はあかねを中へ招き入れた。
ところが、いつもなら元気に挨拶をしながら少し照れたふうに中へ入るはずのあかねが、挨拶も忘れて何やらボーっとしている。
頼久は扉の内側に入っても靴を脱ごうとせずに呆然としているあかねに小首をかしげた。
「神子殿?どうかなさいましたか?」
「あの……その………その格好、どうしたんですか?」
「あぁ。」
言われて初めて頼久は自分の格好がいつもと違っていたことを思い出した。
実は頼久は、朝から着流し姿でいたのだ。
「これは、天真に言われまして。」
「はい?天真君?」
「はい。物書きとはこういう格好をしているものだと言われまして。」
「そ、そういうものですか?」
「まぁ、物書きがこういう格好をしているのを見ることはあります。神子殿もお好きなはずだと天真に言われましたが、お気に召しませんか?」
あかねは慌ててぶんぶんと首を横に振った。
頼久が悲しげな顔をしたので、思わず反射的にそうしてしまったのだ。
「お気に召さないってことはないんですけど、ちょっと驚きました。」
「はぁ…。」
さて、着替えた方がいいのかと頼久が眉間にシワを寄せて考え始めたその時、頼久の耳にあかねの恥ずかしそうなつぶやきが聞こえてきた。
「でも、ステキ、です…。」
それだけ言って急いで靴を脱いでリビングへ駆け込むあかね。
頼久は嬉しそうに微笑んで、ゆっくりとあかねの後を追った。
あかねは着流し姿の頼久を縁側に立たせて、その立ち姿を少しだけ鑑賞してから台所で緑茶をいれるのだった。
管理人のひとりごと
頼久さんが着流し、凄く似合うと思うのです(^^)
もともと和装の人だったわけですし。
管理人もできれば和装で生活したい人ですが、なかなかねぇ…
ということで今回は頼久さんに着てもらいました。
しかし、天真君は何を見て作家は着流しだと思ったのでしょうか(’’)
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