
本当は朝から頼久の家に行こうと思っていたあかねは今、蘭に腕を引かれてCDショップにやってきている。
何故かといわれればもちろん蘭に強引に引っ張ってこられたから。
で、何故蘭があかねを強引にCDショップに引っ張ってきたかと言えば、それは好きな人に告白する時にプレゼントにCDを渡したいから、ということらしい。
あかねはそのCD選びに付き合わされたというわけだ。
蘭は相手の好みもわからないのに、どのCDがいいだろうかと一人で悩みながらCDの海の中を歩き回っている。
付き合いでやってきただけのあかねはすることもなく、人の少ないところへ移動してぼーっと立っていることにした。
夢中になると蘭は長い。
一人必死にCDを選ぶ蘭を見守っているあかねの耳に、先程までは聞こえなかった音楽が聞こえてきた。
今、あかねが立っているのは一番人気の少ないクラシックコーナーだ。
ここはポップスやロックのコーナーとは違ったBGMが流れているようで、なんだか低音の弦楽器の曲が流れてきて耳に心地いい。
あかねはそっと目を閉じて耳を澄ました。
すると綺麗な低音の音色の中、脳裏に窓際で読書する頼久の姿が浮かんで……
これ、なんだか頼久さんにぴったり、よく似合うかも。
と、一人微笑みながら思い描くと、ますますこの曲があの頼久の家のBGMにピッタリな気がして、あかねは目を開くと今かかっている曲が何かわかるものはないかと辺りを見回した。
ところが、曲名がわかるようなものは何一つない。
よーく耳を澄ましてみればヴァイオリンかと思っていた弦楽器の音色はヴァイオリンよりも少し低い音のような気がする。
あかねは思い切って今かかっている曲は何か店員に尋ねてみた。
「あぁ、バッハの無伴奏チェロ組曲ですよ。第一番。」
「あぁ、チェロなんだ。あの、CDありますか?」
「もちろん。」
何故か店員は嬉しそうに何枚かのCDを出してきてくれたが、どの演奏家の作品がいいかと聞かれてもさっぱりわからない。
結局、あかねは店員の勧める一枚を購入してみることにした。
見たこともないような地味なCDを手に一人微笑むあかねに、買い物を終えた蘭が不思議そうな顔でやってくる。
「あかねちゃん、何?それ。」
「頼久さんにプレゼント。」
「く、クラシック……大丈夫?頼久さんわかる?」
「んー、どうかなぁ。でもなんだかとっても頼久さんに似合う気がしたの。」
嬉しそうにCDを抱えて歩き出すあかね。
蘭は苦笑しながらその後を追う。
わかるかどうかはともかく確かに頼久さんはクラシックって感じかも、中身がクラシックだし。
と、心の中でつぶやく蘭だった。
管理人のひとりごと
ちょっとお嬢さん、頼久さんの中身がクラシックって(笑)
と、自分でつっこみつつ…
管理人が好きな曲をそのままネタに使っただけという今回。
でもね、あの重低音のチェロの音、頼久さんの声をイメージさせる気がしたのですよ。
管理人の妄想かもしれませんが(’’)
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