想いの理由
 昼休み、あかねは蘭と天真と一緒に校舎の屋上でお弁当を広げていた。

 蘭と天真は購買でパンを買ってきているが、あかねはお手製のお弁当だ。

 料理の修行をしているあかねは毎日お弁当持参を目標にしているらしい。

 そんなあかねのかなりいいできばえのお弁当の中身を眺めながら天真はふと疑問を口にした。

「前々から思ってたけど、お前さ、あれのどの辺がそんなにいいんだ?」

「あれ?」

 ごくりと口の中身を飲み込んであかねは小首をかしげる。

 天真が何を聞きたいのかわからないらしい。

「いや、頼久。京だとあいつ無口だし無愛想だし、俺、最初に会った時、マジでいけ好かないヤツだと思ったし。そりゃ今は信用できるいいダチだと思ってるけどな、それでもお前がそんな料理の練習必死にやるほどあいつのどこがいいのかと。」

「そ、それは…頼久さんのいいところはいっぱい……。」

 顔を赤くしてうつむくあかね。

 そんなあかねに今度は蘭が追い討ちをかける。

「私も疑問だったんだよね。そりゃ確かに頼久さんは背も高いし顔もいいけど、京じゃ一番とっつきにくい感じしたし。今じゃあかねちゃんにデレデレでそりゃいい彼氏やってるかもしれないけど、京にいた時点でどうしてそんなに好きになれたのかな?って。」

「そ、そんな、蘭まで……って、デレデレって……。」

「デレデレじゃない。」

 と、いつものように蘭は容赦がない。

 そこまで言わなくてもいいだろうと心の中で思っている天真がだが口に出して止めないのは、実際天真も同じようなことを考えていたからだ。

 頼久のあかねへの入れ込みようといったら、真の友として側にいる天真から見ても尋常ではないのだ。

 蘭の言葉に「はうっ」と意味不明なうめき声をあげたあかねは、ふっと溜め息をついてお弁当のおかずを箸でつつきながらゆっくりと口を開いた。

「京で最初に会った時はそりゃ私だってすぐ刀抜くし、死ぬの殺すのって話をするし、ちょっと恐い人かなって思ってはいたんだけど…。」

「でしょ?いっつも周りをにらみつけてる感じしたし、自分の命も簡単に投げ出すけど、同じくらい敵の命も簡単に取る感じしたよね?はっきり言って恐かったよ、武士やってる頼久さんは。」

「そ、そんなことないもんっ!頼久さんはお兄さんのこととかあって自分を追い詰めてただけだったし、私のことを守ろうとして必死になってくれてただけなのっ!そんな恐い人じゃないの!ちゃんと私みたいな子供の言うことも真剣に聞いてくれたし、いつだって凄く真剣に努力してる人だし、真面目だし、優しいし、言葉は少ないかもしれないけど凄く優しいんだからっ!」

 怒涛のごとく頼久を褒めまくるあかねに天真と蘭は同時に深い溜め息をついた。

「はいはい、わかりましたから、もう勘弁してくださいませ。」

「へ?」

 うなだれる蘭にあきれ返っているらしい天真。

 あかねはきょとんとした顔で小首をかしげる。

「俺がバカだった…こんなこと聞いた俺がバカだった……そうだよな、そうくるよな…。」

「な、何が?」

「あのね、あかねちゃん。さっきの発言はただの惚気です。」

「はぅっ。」

 またうめき声を上げたあかねは真っ赤な顔でうつむくと、あまりの恥ずかしさにお弁当のおかずの玉子焼きをぱくっと口に入れるとそれをもぐもぐとし始める。

 天真と蘭も手にしていたパンをかじると、それを牛乳で流し込んだ。

 そして二人とも心の中で誓った。

 二度とあかねに頼久のどこがいいのか?なんて質問はするものかと。




管理人のひとりごと

八葉はみんな見目麗しいので(笑)
その中からどうして頼久さんを選んだのでしょう?というお話。
なんだかどんどん蘭が違う方向のキャラになっていくような…(’’;)
まぁ、天真君の妹なのでおしとやかって感じではない、と思います(汗)





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