
あかね、頼久、天真、蘭、詩紋といういつもの五人は冬休みを前にした週末、あかねの提案で買い物に出ていた。
これからクリスマスを迎えるにあたり、みんなでクリスマスパーティを開いて、そこで5人全員でプレゼント交換をしようと言い出したのだ。
今日はそのプレゼントの買出しのため、5人そろって街中を歩いている。
前を行くのがあかねと頼久、その後ろを二歩ほど下がって天真、蘭、詩紋の三人が歩いていた。
「みんな同じ店で買うつもりなのかなぁ、あかねちゃん。」
「昨日のメールだとそのつもりみたいだったよ?」
「俺はかなり別行動したいぞ…。」
前を歩くあかねはさりげなく頼久の左腕に手をかけてちょくちょく隣を歩く恋人の顔を見上げながら楽しそうに何か話している。
頼久はというとほとんど物は言わないがあかねが話しかけるたびに幸せそうな微笑を浮かべてうなずいている。
そんな二人を一日中見ていなければならないかと思うと、天真は果てしなく憂鬱になるらしい。
意外とあっけらかんとしている蘭と詩紋の二人に比べると、天真の様子は明らかに沈んでいた。
「お兄ちゃん、そんなこと言ってないで少しは勉強しなさいよ。」
「あぁ?何をだよ。」
妹に急に意味のわからないことを言われて不機嫌なことこの上ない天真。
だが、妹はさすが、兄が不機嫌になったくらいではびくともしない。
「あのね、頼久さんをよく観察して勉強しなさいって言ってるの!」
「あぁぁ?俺が頼久から何を勉強しろってんだよ、お前。」
あきれたような口調の天真に蘭はダメだとでも言いたげに首を横に振って見せる。
「あのね、他の時はともかく、ともかくっていうか全然ダメだけど、あかねちゃんと一緒にいる時の頼久さんはパーフェクトだから。」
「あん?パーフェクト?」
「そう!あかねちゃんと一緒にいる時の頼久さんはもう彼氏としてパーフェクトなの!」
「あぁ?」
「よく見てよ、普段はあんなに無口無表情で喧嘩売ろうものなら切り殺しかねない顔してる頼久さんが、あかねちゃんといる時はあんなにデレデレ!買い物でちょっとでもあかねちゃんが荷物持とうとするとすかさずさりげなく持ってあげる!そして極め付けが今!」
「今だぁ?」
次々とマシンガンのように話をする妹の相手をすることさえ面倒と言いたそうな天真に蘭は容赦ない。
そんな二人を詩紋はハラハラしながら見守るしかなかった。
「そう!今!よーーーーく頼久さんを見て!」
「見て!って言われてもよ……並んで歩いてるだけだろ…。」
「そこがお兄ちゃんが女の子にモテない理由だから!」
「お前なぁ…。」
「頼久さん、車道側歩いてるでしょ?あれ、基本だからね!」
「あぁ?」
「女の子を守るために車道側を男の子が歩くのは基本です!昨日雨が降って道が濡れてるし、何か危ないことが起こるとしてもたいてい車道側でしょ?だから普通は女の子を守るために車道側は男の子が歩くの!」
「いや、あれは…あいつの剣を抜く手が右だから神子殿守るために左を歩かせてるだけだと思うぞ…。」
「お兄ちゃんあっま〜い!逆側歩く時も頼久さん、ちゃんとあかねちゃんを右側歩かせて自分は車道側歩いてたもんね!」
「お前なぁ…。」
「頼久さんはお兄ちゃんからラブレターの書き方習って、お兄ちゃんは頼久さんに紳士としての常識を習うべきね。」
一人納得したかのようにうんうんとうなずく蘭。
そんな蘭と前を行く二人とを眺めて天真と詩紋は深いため息をついた。
(そういう蘭はあかねから淑女のたしなみを学んでくれ)
(そういう蘭さんはあかねちゃんから淑女のたしなみを見習ってください)
心の中でそうつぶやきながら。
管理人のひとりごと
現代にきた頼久さんは彼氏としてはパーフェクトみたいです(爆)
あかねちゃん以外を相手にしてる時は昔のままなんですけどね、たぶん。
そして蘭が壊れてます(爆)
天真の妹ですから、蘭はけっこうはじけてるイメージです、うちでは(’’)
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