
何がなんだかわからないまま、頼久は今、天真の家のリビングに座らされていた。
目の前に座っているのはニコニコとご機嫌な天真の妹、蘭と手にメモ帳とペンを握って緊張している様子の詩紋だ。
テーブルの上には詩紋手作りのクッキーと詩紋が準備した三人分の紅茶が並んでいた。
「頼久じゃねーか、何やってんだよ。」
そこへ現れたのは天真だ。
ちょうど台所から麦茶の入ったグラスを持って自分の部屋へ戻るところらしい。
「何、と言われても…詩紋に呼ばれてきただけなのだが…。」
「なんで詩紋が俺ん家にお前を呼ぶんだよ。」
と、天真の視線は詩紋へ向く。
「えと…それはね……。」
言いよどむ詩紋。
隣に座ってギロリと詩紋をにらみつけている蘭。
「蘭、お前、なんか企んでるんじゃねーだろうなぁ。」
「別に、何も。すぐそうやって勘繰るのお兄ちゃんのすっごく嫌なところだよ。彼女にそういうことすると嫌われるよ?」
「けっ。」
と言いながら自分の部屋と歩き出す天真。
だが、頼久の横を通り過ぎる時、頑張れとでも言うようにその方をポンっと叩いていった。
蘭が何か企んでいることは間違いないとこの兄はどうやら看破したらしいが、頼久を助けるためにこの場に残る気はないらしい。
天真の姿が見えなくなると、蘭に肘でつつかれた詩紋がやっと口を開いた。
「今日、頼久さんにきてもらったのは、聞きたいことがあったからなんです。」
「聞きたいこと?」
「はい、これからいくつかボクが質問するので、答えてもらえませんか?」
「それはかまわないが…。」
「じゃぁ、一つ目、頼久さんの好きな食べ物はなんですか?」
「好き嫌いはないが…神子殿の手料理が一番好ましい。」
「……じゃ、じゃぁ、頼久さんの好きな色は何色ですか?」
「神子殿の瞳の色と紫苑だな。」
「………じゃ、じゃぁ、頼久さんはどんなタイプの女性が好きですか?」
「神子殿のような方だな。」
ここで詩紋は深々とため息をついた。
メモ帳とペンを握ってはいるものの、メモをとることもやめたようだ。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっもうっ!」
今まで黙っていた蘭が突然叫び声をあげてばたばたと足をばたつかせた。
「みんなあかねちゃん基準じゃないっ!これじゃ全然あかねちゃんに協力できないっ!」
「神子殿に協力?」
「そうっ!あかねちゃんに頼久さんの好みを教えてあげようと思ったのにっ!」
「だから言ったのに…無駄だって……。」
悔しがる蘭とうなだれる詩紋を見る頼久の口元にかすかに微笑が浮かんだ。
自分の恋人がこんなにも友人に慕われていることが嬉しくて、つい微笑まずにはいられなかった。
「お前ら無駄な努力してんなぁ。こいつのあかねバカっぷりは見てりゃわかるだろうによ。」
どうやら近くで一部始終を聞いていたらしい天真は苦笑しながら蘭と詩紋の頭をポンっと軽くたたいた。
「ハイハイお兄ちゃんの言う通りでした!」
ふてくされる蘭とため息をつく詩紋を頼久と天真の二人は優しく見守る。
見守られている蘭はというとどうやってあかねの恋路に協力しようかと次の策略を練っていて、詩紋はというと次は蘭にどんな協力をさせられるのかにおののいているのだった。
管理人のひとりごと
つまり蘭はあかねちゃんが大好きなんです(笑)
そしてこれは詩紋君受難第一弾(爆)
基本的にうちでは詩紋訓は受難タイプです(マテ
結局のところ、頼久さんはあかねちゃんならなんでもいいんですね(>▽<)
そういう感じが伝わればいいなぁ♪
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