上がる体温
 朝、あかねはすっかり身支度を整えると簀子縁へと出て庭を眺めた。

 いつも落ち着いたたたずまいの庭はうっすらと雪をかぶってひっそりとしていた。

 どうやら寒いはずだと思いながらあかねが何とはなしに自分の肩を抱いたその時、耳慣れた足音が聞こえてきた。

「頼久さん!お帰りなさい、お疲れ様でした。」

 近づいてきた足音の主にあかねはにっこり微笑んで近づくと、口を開いて何か言おうとしていた頼久にふわりと抱きついた。

「なっ……いけません、神子殿、離れて下さい。」

 慌ててそう言って頼久はぐいっとあかねの肩をつかむと、その小さな体を最新の注意を払ってそっと引き離した。

「あ、嫌でしたか?」

 あっという間にあかねの顔には不安の色が広がった。

 それを見て慌てたのは頼久だ。

 こちらも一瞬で顔色を青くすると慌てた様子であかねを御簾の内へといざなった。

「頼久さん?」

「いえ、その……今日は一段と冷えておりますので。」

「雪、降りましたからね。」

「はい、その雪の中を歩いて帰りましたので、私の体はすっかり冷えております。神子殿のお体が冷えるようなことがあってはいけませんので、今しばらく離れていて下さい。」

 真剣な顔の頼久にあかねは一瞬目を見開くと、すぐににっこり微笑んで再び頼久に抱きついた。

「寒いからこうしたんですよ?こうしていれば頼久さんもすぐに温かくなりますから。」

「これでは神子殿が冷えてしまいます。」

「大丈夫です。こうしていればすぐ二人とも温かくなりますから。それに、私がこうしていたいんです。」

「神子殿…。」

 どうやら離れる気のないあかねをそっと抱きしめてから、頼久は突然その小さな体を抱き上げた。

「頼久さん?」

「奥の方がもう少し温かいですし、それに人目もありませんので。」

「人目…。」

 頼久が何を言っているのかに気付いて、あかねは顔を赤くすると上目づかいに頼久の表情を盗み見た。

 あかねを大切そうに抱きかかえて歩み出す頼久は、その顔に優しい笑みを浮かべていた。

 その笑顔を見ただけであかねはなんだか幸せな気持ちになって、つられるようににっこり微笑んだ。

 結局、あかねは屋敷の一番奥の間まで運ばれて、庭の雪がすっかり融けてなくなる真昼まで頼久と二人きりで過ごすことになった。

 その間、頼久はずっとあかねを抱いて離さず、二人は体温と幸せを分かち合った。








管理人のひとりごと

冬寒いんだよ!
という怒りを頼久さんへの愛情へ変換した結果です(’’)
特に管理人がPC置いてる部屋はひどく寒くてですね…
キーボード打つ指が動かなくなります…
次は頼久さんに指を温めてもらいたい管理人でした(ノД`)









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