雪遊び
 頼久は口元をほころばせながら庭の片隅に立っていた。

 視線の先にあるのは楽しげなあかねの姿だ。

 昨夜から降り続いた雪は珍しく昼になっても溶けることがなくて、そのことを喜んだあかねは頼久の家へと駆けつけた。

 もちろんそれは、頼久と二人、珍しい雪景色を楽しむためだ。

 最初のうちは家の中から雪に覆われた庭を眺めていたのだが、とうとうあかねが雪遊びをしてみたいと言い出して今に至る。

 つまり、あかねは頼久のすすめでしっかりと厚着をした状態で庭にしゃがみこんでいた。

 小さくて愛らしい手が作っているのは雪うさぎに小さな雪だるまだ。

 雪だるまは大きく作りたくても積もった雪の量はそれほどではなくて、結局、かわいらしい大きさに落ち着いたようだった。

 頼久はただひたすら雪を楽しむあかねを見守っている。

 こんなふうに幸せそうにしている恋人の姿を見守っているだけで自分も幸せになる、それが頼久だ。

「どうですか?頼久さん、これ、うさぎに見えます?」

「はい、とても愛らしいうさぎに見えます。」

 そう答えながら頼久はあかねの隣へとかがみこんだ。

 足下にちょこんと置かれている雪うさぎはとても上手くできていて、気温の上昇と共に消えてしまうのがもったいないくらいだ。

 あかねが帰ってから写真を撮っておこうと一人心の中で決めた頼久は、突然、満足気に微笑んでいるあかねの手をとった。

 毛糸の手袋をおもむろにはずしてみれば、あかねの手はすっかり冷え切って真っ赤になっていた。

「えっと、夢中になっちゃって…。」

 恥ずかしそうに苦笑するあかねに溜め息をついて、頼久は大きな手であかねの両手を包み込むと、そのままその手を引き寄せた。

 ふらりとあかねの小さな体がぐらついて頼久へと寄りかかる。

「もっと早くに気付くべきでした。」

「だ、大丈夫ですよ!しもやけになるほどじゃないと思いますから…。」

「このままでは体も冷えてしまいます、中へ入りましょう。」

 急いで頼久があかねの手をとったまま立ち上がる。

 引き上げられるようにあかねも立ち上がったけれど、あかねの顔はなんだか寂しそうだ。

「神子殿?」

「せっかくかわいくできたので、もうちょっとだけここで…。」

 どうやらせっかく作った雪うさぎや雪だるまと別れがたいらしいあかねが愛しくて、頼久は微笑を浮かべながらうなずいた。

 そして、このままでは寒いからと引き寄せて抱きしめて…

 綺麗な雪の光に囲まれた二人はどちらからともなく唇を重ねていた。






管理人のひとりごと

今年は普段降らないところでも雪が降ったということでこんなお話。
雪国に生息している管理人からすると雪ってのは厄介なものに違いないことは違いないのですが…
楽しいものでもあるのですよ、というお話のつもりです。
雪で大変!という生活を余儀なくされた方も楽しいところもあるのね!と思って頑張って頂ければ幸いです!










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