無駄
 天真、蘭、詩紋の3人は頼久の家に集合していた。

 何故ならあかねの花嫁修行の成果を確認しようという話になったからだ。

 つまり、あかねが頼久のために練習した料理を3人にふるまうことになったというわけだ。

 ところが、台所に立っていたのはあかねと頼久の2人。

 結局、天真達3人はすっかり新婚夫婦のようになってしまっている二人の後姿を眺め続けることになっていた。

 台所から聞こえてくるのは楽しげなあかねの声ばかり。

 それに答える頼久の声は「はい」とばかり言っている。

「あ、頼久さん、これちょっと味見してもらえますか?」

「はい。」

 あかねに頼まれて頼久は料理の一かけらを口にする。

 そして…

「どうですか?」

「大変美味です。」

「よかったぁ。」

 心の底から安堵した様子のあかねと幸せそうに微笑んでいる頼久との視線が交錯する。

 二人の間に在る空間だけなんだか幸せという色がついたように天真達3人には見えた。

「無駄なことしてるよね、あかねちゃん。」

 とうとう耐えきれずに口を開いたのは蘭だった。

 もちろん、その声は小さくて台所の2人には届かない。

「何がだよ。」

「お兄ちゃんは頼久さんに味聞いてまずいって答えることあると思う?」

「……ねぇな……。」

 妹に指摘されて初めて台所に立つ二人の不毛な会話に気付いて、天真は深いため息をついた。

 つられるように蘭がため息をつくと、テーブルの上に料理が並び始めた。

 それはどれもおいしそうな匂いを漂わせている。

 頼久がいくら神子殿バカでもこれなら毎日最高の料理を食べることができるだろう。

 天真は妹の指摘にうなずきながらも、友の幸せを確信して微笑んだ。

『あかねが料理上手でよかったな。』

 そう心の中でつぶやきながら。







管理人のひとりごと

頼久さんだからねぇ。
あかねちゃんがどんなに料理に失敗してもたぶん「おいしいです」って普通に微笑むこと間違いなし。
そしてもしかすると本当においしいと思ってるかもしれない…
まあ、あかねちゃんはちゃんと自分でも味見するだろうから、とんでもない料理はできてこないとは思います(^^;









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