
あかねは笑顔で月を見上げていた。
夏の暑さが去り、秋空に浮かぶ月は優しい光を放っている。
今は大好きな旦那様と一緒の穏やかな一時。
隣にその大切な人の気配を感じていると、あかねの口元には自然と笑みが浮かんだ。
「お月見、いいですね、こういうの。」
あかねの楽しそうなつぶやきに隣で杯を手にしていた頼久はふと視線を上げた。
目に入ったのはうっとりと月を見上げているあかねの横顔。
このままあかねは月へと召されてしまうのではないか?
美しい月をあかねがうっとりと見上げるたびに頼久は月へと帰る姫の物語を思い出さずにはいられなかった。
もちろん、そんな不安を口にすれば自分を信じてはくれないのかとあかねは拗ねてしまうに違いない。
だから決して口に出したりはしないが、頼久の表情はかすかに曇った。
もしあかねを失ったなら…
頼久がそんなことさえ想像しそうになったその時、ふわりとあかねが頼久の首に抱きついた。
「神子殿?」
驚いて頼久が呼んでみれば、そんな頼久に少しだけ体を離したあかねがにっこり微笑んで見せた。
「私はずっとここにいますよ?頼久さんが嫌だって言ったって離れてあげないんですから。」
「神子殿…。」
頼久の膝の上で微笑むあかねは月明かりを受けて体そのものも淡く光っているように見えた。
不穏なことを想像しているであろう頼久に怒るでもなく拗ねるでもなく、ただ優しく微笑んでくれる人。
その人のなんと尊いことか。
「神子殿は私にとって月より舞い降りた光そのものです。」
「はい?」
「私の道が暗く闇に閉ざされた時には優しく光導いて下さる、神子殿はまさに私にとっては天より降る光に他なりません。」
「………頼久さん、相変わらず恥ずかしいこと平気で言いますよね。」
あかねは苦笑しながらも頬を赤く染めた。
頼久のこの癖はなかなか治らなくて、妻となった今でもこうして時々あかねをどぎまぎさせる。
もちろん、それが嫌なわけではないけれど、恥ずかしいものは妻になっても恥ずかしかった。
「恥ずかしいことを口にしているつもりはないのですが……気を付けます。」
「あ、でも、頼久さんが本当に思ったことだけを言ってくれてるっていうのはわかってますから。」
源頼久という人は不器用だけれどその分まっすぐで、決してお世辞やごまかしを器用に使い分けたりする人ではない。
だから誤解されることもあるけれど、あかねには良くわかっている。
頼久があかねをほめる時はいつだって本気なのだ。
「御理解いただけて光栄です。」
頼久は膝の上で微笑む小さな妻の体を優しく抱きしめた。
決して消えないその光は頼久の腕の中で幸せそうに微笑んだ。
管理人のひとりごと
まさにあかねちゃんは頼久さんの光!っていうことを書きたかっただけだったんですが…
さすが頼久さん、自分で口に出して言ったか(’’)(マテ
でも、女性にとってはこういうふうにストレートに本気の想いを伝えてもらえるって嬉しいことでもありますよね。
もちろん、本気で悪口言われるとキレるわけですが(^▽^)
頼久さんは良くも悪くも全部本気(’’)
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