
「神子殿はおいでかな?」
あかねは聞きなれた艶のある声を耳にして考え事を中断した。
「友雅さん?」
「ああ、おいでだったね。今日は藤姫と相談してね、何枚か衣を用意してきたのだよ。」
「はい?どうして衣なんですか?」
「中から一つ、神子殿のお気に召すものを選んで頂こうと思ってね。」
どうして友雅が急にそんなことを言いだしたのかさっぱりわからなくて、あかねは御簾の内で一人小首を傾げた。
すると…
「あかね、いるか?鮎持ってきてやったぞ!げっ、友雅も来てたのかよ。」
この気さくな物言いは間違いなくイノリのもの。
あかねは何事かと御簾を上げて濡れ縁へと出てみた。
そこでは友雅とイノリが何やら談笑していて、あかねが声をかけようとしたところで鷹通が姿を現した。
「友雅殿、イノリも、珍しいですね、二人がそろってとは。神子殿、ご機嫌はいかがですか?」
「鷹通さんまでどうしたんですか?」
「神子殿に絵巻物でも進呈しようと思いまして。」
衣に鮎に絵巻物。
みんなどうしていきなりそんなものを持ち出してきたのだろう?とあかねが不思議がっていると、そこへ泰明と永泉、玄武の二人が現れた。
「神子…。」
「永泉さん、泰明さんまで。」
「だから神子の気は安定していると言った。」
「はい?」
何がなんだかわからずにあかねが目を白黒させていると、今度は頼久が現れて深いため息をついた。
「頼久さん!」
「ただ今戻りました。それにしても…。」
と、頼久は辺りを見回した。
そこにはみごとにそろった元八葉の面々の顔。
頼久は嬉しそうに微笑むあかねの隣に立つと仲間達に軽く一礼した。
「私が三日戻らぬだけでこのような騒ぎになるとは思いませんでした。」
「へ?」
頼久の言葉にあかねが目を丸くする。
「ああ、藤姫がね、頼久が三日ほど仕事で戻れないから神子殿が寂しがっているだろうと、ね。」
「みんなに連絡しちゃったんですか?!」
友雅の言葉にあかねは思わず大声をだし、そして次の瞬間には深いため息をついていた。
「私、三日くらい大丈夫なのに…。」
だんだん声が小さくなっていくあかねの様子に顔を見合わせた元八葉の面々はその顔に微笑を浮かべた。
「酒の支度をさせますので中へ。」
「まあ、せっかく集ったのだしね。」
頼久の誘いに友雅がうなずけば、後は仲間が集っての楽しい時間だ。
怨霊との激しい戦いからずいぶんと時は経ったけれど、あかねの側は今も仲間が集う場所に違いなかった。
管理人のひとりごと
まあ、いつまでたってもあかねちゃんの周りにはみんなが集まりますよってお話です。
泰明さんは、まあまあ大丈夫だろうって気を見てわかってたんですが、永泉さんがしんぱいするもんだから(笑)
で、永泉さんが心配すると一応顔を見ておこうかなと思っちゃう泰明さんです。
頼久さんもあかねちゃんを心配して早めに帰宅したんですねえ。
そして今日も宴会(笑)
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