
月明かりの下、二人は並んで座っていた。
最近では一日の終わりにこうして二人で夜の一時を過ごすことがしばしばだった。
お互いにはっきり好きだと告白したわけではないけれど、頼久とあかねの間にはなんとなく通じる想いがあった。
だからこうして二人きりで過ごす時間を心地いいと感じるようになるまでにそう長い時間はかからなかった。
頼久は毎晩あかねの警護のために局の前にやってくる。
それを知っているからあかねは眠る前に頼久に会うために自分の局から出てくる。
そんなあかねを始めの頃こそ止めた頼久だったが、数日後には笑顔であかねを迎えるようになっていた。
「寒くはありませんか?」
「全然。頼久さんは疲れてませんか?今日も一日一緒に歩いてもらっちゃったし…。」
「普段より鍛えておりますので、お気づかいなく。」
こんな会話を交わしたらあとは二人とも何も言わずに月を見上げている。
言葉などなくても二人で並んで同じ月を見上げているだけでいい。
ここのところはそんな感じだった。
「なんだか不思議。」
口を開いたのはあかねの方だった。
口下手な頼久はただ小首を傾げて月明かりに浮かぶ女主の横顔を見つめる。
「頼久さんとこんなふうに二人でいるなんて、なんだか不思議です。」
「ご不快でしょうか?」
急に頼久の眉間にシワが寄ったのを見て、あかねはぶんぶんと音がなるほど激しく首を横に振った。
「違います!不思議だけど嬉しいなって…言いたかったんです…。」
「嬉しい、のですか?」
「はい…。」
顔を赤くしてうつむくあかねをまじまじと見つめてから、頼久は急に自分も顔を赤くしてあかねから視線を外した。
あかねの言葉の意味を悟ってしまっては、じっとあかねを見つめていられるような頼久ではない。
どうしてもあかねを見ることができずに頼久が視線を地面へと落したその時、左腕がふわりと温かくなった。
何事かと慌てた頼久の目が自然に左へと向けられると、そこにはさきほどよりずっと近く、まるで頼久の腕にぴったりくっつくかのように座っているあかねの姿があった。
「神子殿…。」
「月、きれいですね。」
「はい…。」
「明日も晴れるといいですね。」
「はい…。」
自分の方を見上げるあかねは幸せそうに微笑んでいる。
その笑顔を見るだけで頼久の心は温かくなった。
あかねと二人、静かな夜の濡れ縁で頼久は月を見上げる。
そして明日はきっと晴れるようにと胸の内で祈った。
青空の下で明日もあかねの笑顔を見ることができるように、と。
管理人のひとりごと
まあ、あかねちゃんが押すわなぁ(マテ
だって頼久さんだもの(’’)
たまにはこんな静かな幸せをと思いまして。
昼間は頼久さんが従者!を崩さない頃なので夜にしてみました♪
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