
「著者近影だぁ?」
ビール片手に頼久の話を聞いていた天真は急に大きな声でそう聞き返した。
「うむ。」
返ってきた答えはそれのみ。
目の前で天真と同じように缶ビールを手にしている頼久の眉間にはすっかりシワが寄っている。
かなり不機嫌かつ、悩んでいるらしい。
「お前なぁ…。」
「わかっている。なるべく外へ出るな、顔を出すな、だろう。」
「俺が口出すことじゃねーと思うぜ、そりゃ俺だって思うけどよ、それ、けっこう売れてる雑誌だろ?」
「うむ。」
「顔写真はやめとけって…。」
事はそこそこ売れているらしい歴史関係の雑誌に頼久の書いた文章が載ることになり、それに伴い、著者の顔写真を載せたいと雑誌の編集部から依頼があったことから始まった。
頼久は顔は出したくないと即答で断ったのだが、どうしてもと編集部に粘られてしまい、どうしたものかと天真に相談したというわけだ。
「絶対あかねが泣く。」
「な、泣かれるのか?神子殿はっ!」
急にさっと顔色を青くした頼久に天真は深くためいきをつく。
「お前な、自覚なさすぎ。写真なんか載ってみろ、絶対あかねが気にする、ファンレターとかきたりして最終的には絶対に泣くな。」
頼久の眉間にきざまれたシワがよりいっそう深くなった。
他の事はともかく、愛しの神子殿のこととなると一切の妥協を許さない男なのだ。
その神子殿が泣くようなことになる真似をどうしてできようか。
「今すぐ断る、記事の掲載自体を断る。」
ボソッとそう言って携帯を手にする頼久。
天真はまたため息をつくと、友の手から携帯を取り上げた。
「何をする?」
「何も掲載まで断ることはねーって。」
「しかし…。」
「そうだな……紙とサインペンみたいなもんあるか?」
「あるが?」
「ちょっと貸せよ。」
天真が何をしたいのか全く予想がつかない頼久だが、そこは京で天地の青龍として戦った相棒のこと、言われるままに紙とペンを用意した。
すると天真はサインペンですらすらと紙に絵を描いていく。
そこに描かれたのは三頭身にデフォルメされた頼久。
四コママンガに出てくるようなその絵を頼久は目を丸くして見つめる。
「あぁ、やっぱ髪はツヤベタだな……よし、頼久、写真のかわりにこれ載せてもらえ。」
「これは……。」
「お前の似顔絵、三頭身バージョン。」
「ふむ、これならば神子殿が泣かれたりはなさらないのだな?」
「おう、絶対大丈夫だ!」
「天真、感謝する。」
頼久は天真が5分で描いたその絵をすぐに雑誌編集部へファックス送信した。
後日、某歴史関係雑誌に前代未聞、デフォルメキャラクター絵の著者近影が掲載され、それはそれである意味話題になったのだった。
管理人のひとりごと
あかねちゃんを泣かせることになるくらいなら転職しますね、頼久さんは(笑)
そして、天真は四コマ漫画が描けたんです(爆)
現代っ子ですからね、三頭身キャラくらい描けるんですよ。
著者近影っていつも写り悪いなぁって思います。
てことで、どうせならイラストにしちゃえと(笑)
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