バレンタイン直前の源頼久宅。
時刻は深夜。
テーブルをはさんで向かい合って、頼久と天真は座っていた。
「天真、最近、剣道部の部員達から妙な質問ばかりされるのだが…。」
「どんなんだよ、妙な質問って。」
いつものように深刻そうに語り始めた真の友を前に天真はつまらなそうな顔で手にしていたビールをあおった。
「どうやったら背が私くらいまで伸びるのか、何を食べると私のような顔になるのか、どのような環境で育てば私のような朴念仁になれるのか、といったようなものばかりだ。」
天真は手にしていたビールの缶をテーブルの上に置いて深い溜め息をついた。
「つまりそれはな、どうしたらお前みたいないい男になれるんだ?って聞いてんだよ、そいつらは。」
「私になどなっても何もいいことはないと思うが…。」
こんな会話はいつものことだが、それでも天真はやはり呆れてしまった。
源頼久という男は自分のことを周囲がどう見ているかという認識力が少々欠如しているのだ。
「あのな、いいこと、あるだろうが。あかねと付き合えるって最大のいいことが。」
「それは…。」
それについては自分がどうこうということではないと頼久は思っている。
あかねが自分を選んでくれたのは奇跡のような出来事であり、ひとえにそれはあかねの優しい心持ちの賜物だというのが頼久の認識だ。
「バレンタインが近いからなぁ。」
突然つぶやいたのは天真だった。
「それと最近質問が多いことと何か関係があるのか?」
頼久が小首を傾げる。
「チョコレートがほしいんだろ、バレンタインに。つまり、女にモテたいからあかねみたいないい女と付き合えるお前みたいな男に少しでも近付こうと必死ってわけだ。」
「そのようなものか…。」
「モテない男ってのはそんなもんなんだよ。お前だって愛しの神子殿に好かれてなかったらどうしたら好かれるか必死で考えるだろ?」
何気ない天真のこの一言に頼久は目を見開いた。
「なるほど、そういうことか……彼らにも想う者があるのだな。」
「いや…色々つっこみたいところはあるが…まあ、いっか。」
小首を傾げる頼久に溜め息をついて天真はビールをあおった。
あかねを例に出したとたんに納得するのか。
いや、お前に質問してきた奴らは別に惚れた奴のことを考えて質問してきたわけじゃなくて、相手は誰でもいいからモテたいだけだ。
などなど…
突っ込みたいことを全て飲み込んで天真は頼久を見つめた。
男から見ても相当のいい男だというのに全くそういった自覚がない。
そんなところもかなわない。
そう思いながら。
管理人のひとりごと
そんないい男になるためにはどうしたらいいんですか?と管理人も問いたい(’’)
というお話(マテ
頼久さんにはそんな自覚はないので、なんでそんなこと聞かれてるのかさっぱりだと。
そんな真の友を持つと天真君が苦労しますな、やっぱり(’’)
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