頼久はいつものように主の警護についていた。
夜、龍神の神子の眠りを守るのは頼久の仕事とすっかり定着して、ここのところは毎日頼久があかねの局の前に立つ。
そうなってから何日目のことだったろうか、あかねは局から抜け出して頼久に話しかけるようになった。
毎晩のようにそうして話しかけられても頼久にはろくな返事を返すこともできなかったが、あかねはそれでも楽しそうに色々話をした。
何日もそうしている間に、頼久はそうしてあかねが夜の警護のたびに話をしに来るのが当たり前になった。
更に何日もが過ぎ、頼久の中で夜が来るのが楽しみになった。
何故なら、あかねが自分のためだけに語りかけてくれる時を得ることができるからだ。
己のそんな想いに気付いたのは最近のこと。
四神の札が見つかり、鬼との戦いも先が見え始めたこの頃。
頼久は毎日のように昼間もあかねの供をし、夜はこうして警護をしていた。
そうして毎日あかねのそばにいることが当たり前のように感じていた、今日、この時、すぐ側に座って話をするあかねの言葉を聞くまでは。
「もうすぐ戦いも終わりますね。」
あかねのこの一言に頼久はうなずくことさえ忘れて目を見開いた。
そう、戦いはいつかは終わるのだ。
終わらせるためにあかねはここにいる。
そのことを頼久はすっかり忘れていた。
「戦いが終わったらみんながつらい目にあうこともなくなるし、頼久さんが怪我をすることも減るだろうし、安心だなって思うんです。」
「はい…。」
「でも、ちょっと寂しいかなとも思っちゃって…ダメですね、私、戦いが終わるのが寂しいなんて。」
頼久を見上げるあかねの顔は本当に寂しそうで、儚くて…
頼久は剣の柄に何気なくかけていた手をかたく握った。
「せっかくみんなと仲良くなれたのに…頼久さんとも……。」
仲良くなれたのに別れることになるのは寂しいというのだろうか?
そう考えて頼久は爪が手の平に食い込むほどきつく手を握り締めた。
戦いが終わったら、天から降ってきた天女は天へ帰らねばならない。
「頼久さんは…仕事が減って嬉しいですか?」
儚げな顔で尋ねられて、頼久は一瞬言葉に詰まってから視線を地面へと落とした。
この戦いが終わって嬉しいことなど一つもないと気付いたから。
「……いえ、寂しいと思います、私も。」
本当は寂しいなどという程度の想いではないけれど、本心を口にすることは到底できるはずもなくて…
「不謹慎かもしれないですけど、ちょっと嬉しいです。頼久さんが私と同じように寂しいって思ってくれてるの…。」
あかねは頼久にふわりと微笑んで見せた。
その笑顔を頼久は脳裏に焼き付ける。
いつか、必ずその日はやってくる。
鬼との戦いが終われば必ず。
その日が来たときに、その日の後にやってくる日々に、この大切な人の顔を忘れることがないように。
頼久はただじっとあかねの顔を見つめ続けた。
管理人のひとりごと
なんとなく、頼久さんの片思いみたいなものが書きたくなりました(’’)(マテ
想いが通じないうちにあかねちゃんが異世界の人だと気付いた場合の頼久さんの図。
たぶん、最後の最後まで行かないでくれとか言わないんだろうなぁ、頼久さんは。
でも最後の最後には言う(笑)
なかなかそこまでエネルギーゲージが上がらない頼久さんをたまには(爆)
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