
あかねはテーブルの上に盛大に資料を撒き散らして、それらを睨みつけながら悩み続けている。
久々に頼久の家へやってきたのはいいものの、出迎えた頼久に挨拶をするのもそこそこにたくさんの資料と格闘を始めたのだ。
隣にはもちろん頼久が座っているのだが、なかなか声をかけられずにいた。
あまりにもあかねが真剣に悩んでいるからだ。
テーブルの上に並んでいるのは大学の資料だ。
つまり、あかねは今、志望校をどこにしようかと悩んでいるというわけだ。
「ん〜、どうしよう…。」
「神子殿、それは今決めなくてはならないものなのですか?」
「あ、えっと、最終決定じゃないんですけど、進路希望調査が明日なんです。そこでとりあえず出しておかないといけなくて、それをもとに成績の管理とかされちゃうんで、なるべく最終決定に近い感じで出すようにって…でもなかなか決められなくて…。」
「どことどこでお悩みですか?」
「えっと、ここの保育科もいいんですけどこっちの方が現実的には入学できそうというか…でもこっちはちょっと…。」
「希望の学科ではないのですか?」
「そうじゃなくて…その……離れてるんで…。」
「は?」
悲しそうにうつむくあかねの横顔を見ながら頼久はあかねが手にしている大学の資料を取り上げた。
そして、その大学の住所を見て、頼久はその口元をほころばせた。
離れている。
そう、ここからはずいぶんと離れたところにある大学だ。
「あんまり遠くの大学だと一人暮らしすることになっちゃうし…頼久さんに会えなくなっちゃうし…。」
頼久は大学の資料をテーブルの上へ置くと、あかねに向かってゆっくりと口を開いた。
「神子殿、そのようなことはどうぞお気になさらず。」
「気にしますよ。会えなくなるの嫌ですもん。」
「いえ、会えなくなどなりませんので。」
「はい?」
「神子殿がどこか遠方の大学へ進学なさる際には私もここを引き払って引越します。」
「…………はい?」
「ですから、神子殿のお住まいの近くへ引越しを致しますので。」
「……。」
一瞬あかねが絶句した。
だがよくよく考えてみれば、確かに頼久は仕事の面から言ってもここに住んでいなくてはならないというわけではない。
身軽といえば身軽な仕事をしているのだ。
「あ、えっと……その…………じゃぁ、どうしても遠くの大学にしか入れないようだったらお願いします。」
真っ赤な顔でそういうあかねに頼久はぱっと明るい笑顔を浮かべた。
何を言っているのかと怒るかと思っていた頼久にとってあかねにこんなふうに頼ってもらえるのは嬉しい。
「はい。」
「で、でもっ、近くで希望の大学に入れるように頑張ります!」
離れるのは寂しいけれど自分のせいで恋人に引越しをさせるなんてとんでもないと、今まで悩みに悩み続けていたあかねは一気に力を取り戻し、一番近くて自宅から通える距離の大学を第一志望に決めた。
成績は少し厳しいけれどそれはこれからの努力次第。
頼久の一言であかねはそう心の内に決めたのだった。
管理人のひとりごと
頼久さんの中では当たり前です(’’)
京から異世界までついてきた人ですよ?
そりゃあんた、日本全国どこにでもついていきます!
並みのストーカーじゃかなわないくらいにね!(マテ
で、そんなことさせられない!ってあかねちゃんは結局物凄く頑張ることになります(w
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