
「頼久さん、鍛錬はかまわないと思うんですけど、何もそんなに一生懸命やらなくてもよくないですか?こっちの世界じゃ剣を使うことなんてないんだし…少しくらい腕がなまっても問題ないと思うんですけど…。」
よく晴れた週末、あかねは頼久の家を訪れて目を丸くした。
早朝に頼久が今でも木刀を振って剣の鍛錬をしていることは知っていたけれど、この日はあかねが訪ねる時間になってもまだ鍛錬を続けていたからだ。
しかも全身汗だくで。
「いえ、修得したい技がございますので。」
「わ、技?でも、こっちの世界で剣の技なんて使うことないんじゃ…。」
「いえ、先日、神子殿がその技を習得したステキなキャラクターがいるとおっしゃっていましたので。」
「はい?」
一度木刀を振る手を止めて微笑む頼久の顔を見つめてあかねは記憶をたどった。
そういえば、そんな話をしたような…
「それってもしかして、この前話したゲームの…。」
「はい『花断ち』とやらを修得できればと。」
にっこり。
爽やかに微笑まれてあかねは驚きで目を見開いた。
「そ、そんなの無理です!絶対無理ですから!あれはゲームの中での話であって…。」
「いえ、神子殿がその技を習得した者をこそと仰せならばこの頼久、命に代えましても…。」
「代えちゃダメです!」
「いえ、ゲームの中の男に神子殿を奪われるとあっては…。」
「奪われません!だいたい私が九郎さんを好きだって言ったのは頼久さんに似てたからです!」
あかねが必死になってようやく大声でそういうと、頼久はキョトンとした顔で真っ赤な顔のあかねを見つめた。
「似ている、のですか?」
「ん〜、外見は似てませんけど、剣の達人で、武士で、武士団をまとめる棟梁で、優しいけど口下手で、あ、あと、お兄さんが大好きなところがよく似てます。だから、あのゲームやろうと思ったんですもん。家で夜、一人でいる時にやってるとなんか頼久さんと冒険してるような気持ちになるから…。」
「神子殿…。」
「だ、だから、九郎さんに奪われたりはしませんから、頼久さんも『花断ち』修得するとか無謀なことは止めてください。」
「御意。」
そう言ってベランダから部屋へと入って、照れて赤くなるあかねに微笑みかけた頼久は木刀を置いてそのまま部屋を出て行こうとした。
この流れだといつもは優しく抱きしめてくれるのに、とちょっとだけ寂しくなってあかねは思わず頼久の腕に手をかけた。
「頼久さん、どこ行くんですか?」
「汗をかきましたので、失礼してシャワーを浴びてまいります。」
「あ、そうか、そうですよね。気持ち悪いですもんね。」
そう言ってあかねがほっと安心して微笑を浮かべると、頼久はあっさり首を横に振った。
「いえ、私はかまわないのですが、このなりで神子殿をかき抱いたりしては神子殿がご不快でしょうから。」
「はい?」
「洗い流しましてから。」
「……はい。」
頼久の気遣いは嬉しいものの、言われたことはとても恥ずかしくてあかねは顔を真っ赤にしてうつむいた。
それでも何を言ってるんですかと抗議することなんてできなくて…
頼久はうつむくあかねを幸せそうに見つめてから浴室へと姿を消した。
管理人のひとりごと
拍手御礼SS「ライバル」のその後でございます♪
いや、管理人は九郎さんの方が将臣兄さんより頼久さんに似てるなぁと思って好きになったもので(’’)
二人とも武士でしょ、二人とも剣の達人でしょ、そしてなんと言っても二人ともブラコンでしょ(マテ
髪が長くてポニーテールだし、うまく神子殿を口説けないところもね(^−^)
九郎さんの方がまぁやんちゃですが(w
あかねちゃんだったらやっぱり武士の九郎さんかなぁと、管理人の意見を代弁してもらいました(’’)
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