「神子殿!神子殿!」
絞り出すような頼久の叫び声が辺りに響き渡った。
その腕の中にあるあかねはぐったりと気を失ったまま動かない。
血が流れるほどの傷は見られないが、頭を強く打ったものか、あかねは一向に閉じた目を開けようとはしなかった。
ただ腕の中にある小さな体が温かい。
それは生きているという証。
その証にすがるように頼久はあかねの大切に大切にかき抱いたまま、あかねを呼び続けた。
「神子殿!」
そんな頼久とあかねのもとに最初に駆け付けたのは友雅だった。
返り血を浴びていつもの優雅な姿からは考えられない修羅のごとき様相だ。
しかも、その顔にはあの穏やかな微笑は欠片ほども浮かんでいなくて、きつく引き結ばれた口元と細められた目が恐ろしいほどだった。
奥の歯を強くかみしめているのだろう、こめかみの辺りに力が入っているのも見て取れた。
次に駆けつけた泰明は、すぐにあかねの傍らにかがみこむと、その様子をうかがう。
いつも表情を変えない泰明も、その顔には苦々しい表情が浮かんでいた。
それはあかねの容態のせいではなく、あかねをこんな状態にしてしまったという己の力のなさへの憤りだった。
「泰明殿、神子殿は…。」
「大事ない。おそらく頭を打って気を失っているだけだ。気の巡りは問題ない。」
そうは言うものの、泰明の表情は晴れない。
頼久はその泰明の表情があかねはもう目を開けないと言っているような気さえして、腕の中にあるあかねの体を抱きしめた。
「神子殿…どうか目を開けてください…どうか………あかね。」
形のいい小さな耳の傍でそう囁くようにつぶやいた頼久の声は、あかねの目をゆっくりを開けさせた。
そのことに抱きしめている頼久よりも先に気付いた友雅と泰明が安堵のため息をついた。
そして…
「頼久、さん?」
「神子殿!」
耳に届いたあかねの声に、頼久はあわててその身を離し、あかねのやっと開いた目をじっと覗き込んだ。
戦闘中に気絶しちゃったあかねちゃんです。
あかねちゃんを守りきれなかったとさいなまれているのは頼久さんだけじゃありません。
友雅さんが血まみれなのはあかねちゃんを気絶させた敵をぶった切ったからです(’’)
あかねちゃんを傷つけられると友雅さんも切れました。
みたいなお話の続きは連載にて!