鷹通はゆっくりと目を開けた。
最初に襲ってきたのは肩の痛み。
次に感じたのは右手を包むぬくもりだった。
次第にはっきりとしてきた視界には見慣れない天井が現れて、視界を巡らせてみれば心配そうに自分を見つめているあかねの姿にぶつかった。
「鷹通さん、目が覚めたんですね。」
「神子殿?ここは…。」
「私をかばって、鷹通さん、肩に大怪我したんです。ここは友雅さんの知り合いの方のお屋敷です。」
もやがかかったような記憶をたどっていけば、確かに自分は武術ができぬ故とその身を使ってあかねを守ったのだった。
その甲斐あってどうやらあかねは無傷らしいと見て取って、鷹通は小さく息を吐いた。
武術は苦手な自分でもどうやら役には立ったようだ。
「泰明さんは命に関わるような傷じゃないって言ってくれたんですけど、心配で…。」
「神子殿がついていてくださったのですね。」
「当然です。私のせいで鷹通さん、怪我しちゃったんですから。龍神様にお祈りしてました。ずっと。」
「でしたら、私はすぐに良くなります。龍神自らが選んだ神子殿が祈ってくださったのですから。」
「だといいですけど…私はもう龍神の神子じゃありませんから…。」
確かに今は龍神の神子ではなくなったが、きっと龍神はこの愛し子の望みなら叶えるだろう。
鷹通はそう思った。
それほどあかねという女性は神子ではなくなった今も清らかで美しい。
「八葉ではなくなった私でもお役にたててよかった。」
「そんな!鷹通さんはいつだって私のこと助けてくれてます!」
「なら良いのですが。頼久のように剣を使うことができるわけではありませんから…。」
「鷹通さんには鷹通さんにしかできないことがちゃんとあるじゃないですか。」
「そう、ですね…ですが、それを神子殿は選んではくださらなかった。」
「はい?鷹通さん?」
傷の影響で出始めた熱に思考を邪魔されて、鷹通はもう自分が何を話しているのかわからなくなっていた。
そして御簾の向こうで静かに警護に立っている頼久には、それ故に今の鷹通の言葉が鷹通に本心であろうことがわかっていた。
あかねちゃんをかばって怪我をする鷹通さん。
そしてそれを看病するあかねちゃん。
熱のせいもあってつい本音をポロリとこぼしてますが、それで胸を痛めるのは頼久さんでした。
みたいなお話の続きは連載にて!