花の下で−風早編−
「千尋、出かけませんか?」

「へ?」

「見せたいものがあるんです。」

「あ、うん、いいけど……。」

 優しい笑顔の風早に手を引かれて、千尋は仕事も途中のまま部屋を出た。

 外は綺麗な青空。

 散歩をするのには確かに気持ちのいい日だけれど…

「風早、どうしたの?急に出かけようなんて。」

「いいものを見つけたんです。」

「いいもの?」

 尋ねてみても風早は答えてくれなくて、千尋はただ大きな手に引かれてついていくだけだ。

 そのまましばらく歩いて行くと千尋は目の前に広がる風早に目を丸くした。

 そこは少しばかり視界の開けている草原で、一本だけ大きな木があった。

 そしてその木の枝にはこぼれんばかりの薄紅の花がついていた。

「風早…これってもしかして…。」

「ええ、桜です。」

 千尋の前にある大きな桜の木は、今がちょうど満開で優しい風が通り過ぎただけで花弁がヒラヒラと舞う。

「綺麗…。」

「千尋は花見が好きでしょう?」

「うん!大好き!」

 舞い散る花弁の中で満面の笑みを浮かべる千尋。

 風早はそんな千尋を優しく抱き締めた。

「喜んでもらえてよかった。」

「うん、有難う、風早。」

 千尋の腕がギュッと風早を抱き締める。

 風早はその細い腕の思いがけない力が千尋の深い愛情の表れのような気がして、口元をほころばせた。

「風早はいつも私をこうやって喜ばせてくれるんだね。」

 そう言って千尋が風早の顔を見上げれば、そこに優しい口づけが降ってきた。

 ゆっくり目を閉じて口づけを受け入れた千尋が口づけの後、目にしたのは幸せそうな恋人の笑顔だった。

「よかった。」

「はい?」

「風早も幸せそうだから。」

 千尋の言葉に一瞬目を丸くした風早は、すぐ千尋を腕の中に閉じ込めた。

「千尋の側にいられるなら、俺はいつだって幸せです。」

「風早はもぅ……。」

 千尋は風早の腕の中で首まで真っ赤になりながらも、うっとりとその胸にもたれた。

 春の穏やかな風に舞う薄紅の中、二人は陽が沈むまで静かにたたずんでいた。





管理人のひとりごと

桜企画拍手御礼SSバージョン、風早編でした♪
風早父さんは千尋ちゃんのことなら何でも知っています!←断言
なので、桜が大好き、お花見大好きなことももちろん承知しているので、ここぞとばかりに満開を狙って誘ってくれること間違いナシです!
この他にも、お正月には大好きなお雑煮を作ってくれたり、お雛様には桜餅を作ってくれたりしそうです!(マテ
もちろん娘もパパ幸せかしら?と心配しているわけですが、パパは娘さえいれば幸せです!(コラ







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