「我が君は本日も咲き誇る花のように美しく、澄み渡る泉のごとく清らかで、全ての人の子を生みたもうた聖母のごとく偉大であらせられます。」
千尋ははぁっと深い溜め息をついた。
朝起きて着替えをして、一日の最初に会いたい人に会いに来て聞かされた第一声がこれ。
柊が持てる語彙の限りを尽くして自分をたたえてくれているのはわかるけれど、千尋は何か違う気がしている。
「我が君?どうかなさいましたか?」
「何が違う気がするの。」
「は?」
「柊はいつもそうやってたくさん私のことを褒めてくれるけれど、何か違う気がする。」
「私のごとき愚か者の身では我が君のおっしゃりたいことが理解できかねます、この哀れな従者にご説明頂けますでしょうか?」
「柊は私のこと、好き?」
「は?」
「柊は私のことが好きなの?嫌いなの?」
まっすぐに見つめられてそう問われて、柊は苦笑した。
「私が我が君を想う心はこの空に輝く星の全てを…。」
「ちょっと待った!」
「は?」
「それが違うと思うの。」
「違うとは…。」
「柊は私が好き?」
さっきと同じ質問。
だが、さっきと同じように答えようとすればまた待ったがかかることは確実で柊は考え込んだ。
この美しい主はいったい自分に何を求めているのだろうか?
「好きか嫌いかで答えて。」
「……好き、です。」
「うん!」
千尋はとても嬉しそうに微笑んだ。
そして柊はこの瞬間、主が何を求めているのかに気づいた。
「我が君。」
「何?」
「愛しています。」
そっと主の愛らしい耳に唇を寄せてそうつぶやけば、今度はその顔が真っ赤に染まる。
「そ、それはそれで柊じゃない気がする!」
そう言って千尋は慌てて部屋を出て行ってしまった。
それでも柊には千尋が怒っていたわけではないことがわかる。
だからその顔に優しい笑みを浮かべながら心の中で誓った。
これからは主への思いをなるべく短い言葉でまっすぐに伝えようと。
管理人のひとりごと
柊さんのセリフ考えるの楽しいけど疲れるんですよっ!
という管理人の悲鳴から発したSS(’’)
言葉って飾りすぎても伝わらないって思うんですよ、物書きとしては。
だからたまにはストレートに相手の目を見て気持ちを伝える。
柊にはそういう練習も必要かなと。
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