
「ん〜。」
風早は一人、千尋の部屋でうなっていた。
千尋は今、姉である女王に呼び出されて不在。
だからたまたまできてしまった一人の時間を風早は持て余していた。
一人になると脳裏に浮かぶのはやはり千尋の姿。
そして考えさせられるのは変わってしまった自分の立場だ。
その昔は千尋を守る神、それでよかった。
もちろん、人となった今だからこそできることもあるが、できなくなったこともある。
それらを頭の中に並べてうなっているというわけだ。
「風早?どうしたの?悩み事?」
千尋の声で我に返って風早は苦笑した。
どうやら考え事に集中しすぎて千尋が帰ってきたことに気付かなかったらしい。
これも神であった頃にはなかったことだ。
「いえ、悩み事というか…。」
「話してみて?ほら、人に話すと楽になることってあるし。」
千尋に心から心配そうな顔をされては風早に逆らうことなんてできるはずもなくて…
風早は情けないような苦笑を浮かべながら口を開いた。
「俺は人になったせいでできることが増えすぎてしまって困っているんです。」
「え?できないことが増えて、じゃないの?」
「はい。まあ、できないことも増えましたが、どちらかというとできることが増えたことの方が問題なんです。」
「全然見当がつかないんだけど…何ができて困るの?」
千尋が知る限り、神様は少なくても人間よりはできることが多いはずだ。
それこそ神様だった時の風早は千尋が信じられないような力を使ってたくさん助けてもくれた。
だから、千尋には風早の言っていることの意味がよくわからない。
そんな千尋が小首を傾げるのを見つめて風早はクスッと笑みを漏らした。
「たとえば、神だった頃は千尋に愛しいと伝えてはいけないと思っていました。千尋が幸せになれないと思ったからです。」
「それはなんとなくわかるような…。」
「あとは、なるべく触れたりするのもいけないと思っていました。キスなんてとんでもなかったですね。」
「どうして?」
「愛しいって伝わってしまいますから。でも、今はいくらでもできてしまうので、困っているんです。」
「すればいい、んじゃない?」
答えは簡単といわんばかりの千尋に風早は苦笑する。
「いいんですか?ものすごくたくさんすると思いますが。」
「へ……。」
あっという間に顔を赤くする千尋を風早は優しい微笑みを浮かべて抱き寄せた。
すればいいと言った以上、千尋も抵抗する気はないらしくて…
素直に抱き寄せられた千尋に優しく何度もキスをして風早は大切に大切に千尋を抱きしめた。
きっと千尋は風早が望むこと全てをかなえてくれてしまうから。
まだ風早の中でくすぶっている想いは、もう少し秘密のまま。
管理人のひとりごと
お父さん娘大好きだから(ノД`)
色々我慢してるんだ、好青年でいるためには(’’)
神様の方が色々できたはずっていうところから逆転の発想をしてみました。
神様だった頃の風早はたぶん色々できないこともあった気がしたので。
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