
「なぁ、姫さん、やっぱ空の散歩に行こうぜ。」
サザキはそう言いながら頭をかいた。
ここはサザキの船の中の千尋の部屋だ。
狭い部屋に今、サザキは千尋と二人、並んで座っていた。
隣の千尋はというと、何をするでもなく、ただサザキの言葉に深い溜め息をついていた。
「ダメ。今日はここで二人きりで一日一緒に過ごしてくれるって約束でしょう?」
「いや、そりゃそうなんだが……オレはどうもこういうのは苦手っつーか……。」
「何がそんなに苦手なの?」
「そ、そ、そりゃ、その…ふ、二人っきりだしな…。」
「みんながいたら話もゆっくりできないって言ったのサザキじゃない。それに、空を飛んだって二人きりなのは同じだし。どっちかっていうとサザキが私を抱いている分、密着してる気がするんだけど?」
「空の上は話が別だろ。」
「別じゃないと思うんだけど…。」
「オレ達にとっちゃ空は特別なんだ。二人っきりでも空は広いからな!空の上で緊張なんてもんは一度もした事がない!」
胸を張ってどうだと言わんばかりのサザキに千尋は苦笑した。
日向の一族にとって空は本当に特別なものらしくて、誰もがみんな空の散歩を何よりも楽しいものだと言う。
かくいうサザキもその一人で、千尋と二人で空を飛ぶのが大好きだ。
千尋にしてみれば横抱きに抱き上げられて空を飛んでいる間の方が、どれほどドキドキするか知れないのに、サザキはそうではないらしくて、空では楽しそうに千尋を抱きしめて飛び回る。
逆にこうして一つの部屋に二人きりでいると、あっという間にそわそわと落ち着かなくなって、並んで座ったりなんかした日には顔を真っ赤にすることもあった。
それでいて仲間達がいる場所では話もゆっくりできないと嘆くものだから、千尋はたまには二人きりで部屋でゆっくりしようと自分の部屋へサザキを連れて来たのだけれど…
結局、サザキは空を飛ぼうと言い出したのだった。
「空の散歩は確かにステキだけど…。」
「だろ?」
「たまにはこうして二人きりでゆっくりおしゃべりしたり……その……仲良くしたいかな、私は。」
「仲良く……。」
「そう、仲良く。」
そう言って千尋がサザキの腕に抱きつくとサザキはあっという間に首まで真っ赤になって硬直した。
それはもうまるで石のようで、千尋は思わず苦笑した。
「そんなに緊張しなくてもいいのに…。」
「ひ、姫さんが緊張しない方が悪い!」
じたばたと暴れ始めるサザキの腕をしっかり抱いて、千尋はクスッと笑みを漏らした。
こういう子供っぽいところはずっと変わらない。
そんなサザキがなんだかかわいらしくて、千尋は大切そうにサザキの腕を抱きしめた。
そうするとサザキもやっと落ち着きを取り戻して、見上げる千尋の視線に答えるように照れた笑みを浮かべて頭をかいた。
管理人のひとりごと
空の上は別だから!
大人でかっこいいサザキは空限定!というお話。
いや、空飛んでても子供っぽいのはあまり変わらないかもしれないですがね(’’)
狭い密室で愛しい人と二人きりなんてとんでもない!ってことになるかなぁという管理人の妄想Σ(゚д゚lll)
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