過ぎたるは
 風早は隣に座り、気持ちよさそうに春の風を楽しんでいる千尋をちっと見つめていた。

 ちょっとした仕事の合間に二人は息抜きにと外へ出たのだった。

 晴れた春の陽の下はとても気持ちが良くて、千尋はすっかりリラックスしている様子だ。

 ところが、風早はというと、そんな千尋をどこか心配そうな曇った顔で見守っていた。

「千尋。」

 風早が呼びかければ千尋はすぐに笑顔を風早へ向けた。

「なに?」

 小首を傾げる愛らしい千尋に思わず苦笑して、風早は次に正面から千尋を見つめた。

「聞きたいことがあるんですが…。」

「うん。」

「その…千尋は俺のこと、鬱陶しくはないですか?」

「どうして?」

「いえ…最近気付いたんですが、四六時中一緒だなと思ったので…。」

 人となった風早にはもう、離れていては千尋の存在を感じる力はない。

 だから、どうしても千尋の側にと思うことが多くなっていた。

 よくよく考えてみれば千尋にだって一人になりたい時間があるかもしれない。

 そう気付いてしまうともう気になって…

 とうとう風早は脳裏に浮かんだ疑問を口に出したのだった。

「風早は私が鬱陶しいの?」

「は?」

「風早がそう思ってるからそんなこと言うのかなって…。」

「違います!」

 急に悲しげに表情も曇らせる千尋に風早は慌てた。

「私だって風早となるべく一緒にいたいと思ってるから鬱陶しいなんて思わないよ。」

「千尋…。」

「もっと一緒にいたいくらいなのに…。」

 顔を赤くしながらそう言う千尋の手を引いて微笑を浮かべた風早はゆっくりと歩き出した。

「そろそろ戻りましょう。残っている仕事もありますし。」

「あ、うん、そうだね。」

「早く仕事を終わらせたら、あとは一緒にご飯を食べてそれからお茶にしましょう。」

「うん!」

 帰って仕事と聞いて一瞬暗く沈んだ千尋の顔はすぐに笑顔を取り戻した。

 『一緒に』という言葉が千尋にとってどんなに嬉しい一言だったか。

 そんな千尋を見つめる風早の顔にも、いつの間にか幸せいっぱいの微笑が浮かんでいた。








管理人のひとりごと

好きな人じゃなかったらね、正直鬱陶しい(爆)
でも、千尋ちゃんと風早の間でそれはないね!
風早父さんは人になってから色々と不便そうなので、こんなこともあるかなと。
もっともっと一緒に、それが恋する乙女心とこうして父さんは学びます(笑)








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