忍人は窓から外を眺めて目を見開いた。
何故なら窓の外には白いものがちらついていたからだ。
朝から冷えるとは思っていたが、雪を見ることになるとは思わなかった。
忍人が雪に目を奪われていると扉の向こうから控えめな声が聞こえてきた。
「忍人さん、千尋です。いらっしゃいますか?」
「ああ。」
いつものようにぶっきらぼうに返事をすれば、すっと扉が開いて千尋が中へ入ってきた。
「今日はお休み、ですよね?」
「ああ、君の命令でそうなったと思ったが?」
「嫌でしたか?」
「嫌ということはないが…。」
一軍を預かる身である忍人には仕事が多い。
だから休みを取りたくないわけではないが、休んでいる場合ではないというのが正直なところだ。
「仕事がたくさんあるのはわかってます…でも…。」
「君が俺の心配をしてくれていることは承知しているつもりだ。だから今日は一日しっかり休むつもりでいた。」
「忍人さん…ありがとうございます。」
「休みを取って礼を言われるというのも妙なものだな。」
忍人は思わず苦笑をこぼした。
休むと宣言しただけで千尋が満面の笑みを見せてくれるとは思ってもみなかった。
「あ、雪…。」
「ああ、先ほどからとうとうちらつきだした。」
「寒いはずですね。こう寒いとせっかくの休みなのに外へ出かけたりはしづらいかも…。」
窓の外を眺めながら千尋は自分の肩を抱いた。
朝から続く雪が降るほどの冷え込みはさすがに厳しい。
それでも空から舞い落ちる白い欠片に目を奪われている千尋の小さな体は背後からそっと抱きしめられた。
「忍人、さん?」
「寒いのならこういう過ごし方もある。」
耳元に聞こえた艶やかな声に千尋は顔を赤くしながらも、自分を抱きしめてくれる強い腕にそっと自分の手を添えた。
管理人のひとりごと
暑いの続くとこういうのもいいかなと思って真夏に書いてます(’’)
忍人さんはあの八葉の中では常識人だと思うので、行動は普通。
これくらいのことは自然とやってくれるんじゃないかと。
第三者が見ていたりすると話は別ですが(w
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