
サザキは気合が入っていた。
橿原宮から千尋をさらってきて、船で旅すること一ヶ月。
千尋はあっという間にサザキの仲間達になじみ、今ではすっかり『姐さん』として慕われている。
慕われているのだが、サザキには納得いかないことが一つだけあった。
それは既に千尋が『姐さん』と呼ばれてしまっていること。
まだ千尋はサザキの妻になったわけでもなんでもないのに『姐さん』だ。
しかも、何度言ってもみんながその呼び方を改めないので、当の千尋までもうそう呼ばれることに抵抗がなくなってしまっている様子で…
だが、本人は良くてもサザキは納得できなかった。
『姐さん』はサザキの妻を呼ぶときの呼び方のはずだ。
ということは、もう千尋に妻になってもらうしかない!
そう心の中で決意して、サザキは深呼吸をしてから甲板に出た。
船旅をことのほか気に入ったらしい千尋は一日の大半を甲板で暮すからだ。
すると、案の定、千尋は甲板でニコニコと微笑みながら海風を全身に受けていた。
「ひ、姫さん。」
「あ、サザキ、今日も気持ちいいね。」
「お、おうっ!」
あまりの緊張でサザキの声は裏返ってしまった。
当然、千尋が小首を傾げる。
「どうかしたの?サザキ。」
「い、いや、その…なんだ…『姐さん』って呼び方のことなんだが…。」
「ああ、もうそのことはいいよ、気にしないことにしたから。もうなんか今更、姫さんとか千尋さんとかみんなに呼ばれるのも違和感あるし。」
「ひ、姫さんがあきらめるなって!」
「だって、慣れちゃったし…。」
「慣れるなって!」
「でも別に、そんなにこだわることじゃないし…。」
「こ、こだわってくれよ…。」
「なんで?」
「い、いや、その、それは…あ、姐さんってのはオレのよよよよ、嫁さんを呼ぶ時の呼び方であって…その、まだ姫さんはオレの嫁さんじゃねーし…だから、だな、その…なんだ…姫さん!」
「はい?」
「おおおおお、オレの…。」
そこまで言ってサザキは背後に視線を感じて振り返った。
するとそこにはニヤニヤと笑っているらしい日向の男達が何人か物陰に隠れてこちらをうかがっているではないか。
「……いや、また今度でいい…。」
サザキはがっくりと肩を落として自分の部屋と歩き出す。
「変なサザキ。」
見送る千尋は小首をかしげ、見守っていた日向の男達は果てしなく深い溜め息をついた。
管理人のひとりごと
サザキはさらっちゃったから!(笑)
ゲームでは映画のラストみたいに千尋をさらっちゃって、なんとなくさらっちゃって(マテ
なんで、実はちゃんとプロポーズ的なことをしていないのになんとなくサザキのものになってるだろうなと(笑)
でもサザキのことなんで、ちゃんとプロポーズしないと手も出せないんだろうなと(w
で、サザキのことなんで、なかなかできないんだろうなと(っдT)
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