「愛している。」
耳元で囁かれた声に千尋は顔を真っ赤にしてうつむいた。
それでなくても今の状況を考えただけで恥ずかしくて溶けてしまいそうだ。
それなのに背後から千尋を抱きすくめている恋人は先ほどから何度も耳元で同じ言葉を囁いていた。
千尋が身もだえしそうなほど恥ずかしい状況とは…
つまり椅子に座っている遠夜の膝の上に乗せられて抱きしめられて、耳元で愛を囁かれているという状況だった。
どうしてそんなことになったのか、どんなに考えても千尋は思い出せなかった。
それくらい今の状況にいっぱいいっぱいだ。
「神子、愛している。」
「わ、わかったから…。」
思わずそう言葉を漏らせば、遠夜の瞳が悲しそうに翳った。
「この言葉は嫌い?」
「嫌いとかじゃなくて恥ずかしいの…。」
「どうして?」
「どうしてって……。」
「これは全て本当の気持ちだから恥ずかしくない。」
「そ、それはそうなんだけど、恥ずかしいものは恥ずかしいの…。」
耳まで赤くして千尋がそう訴えると遠夜は少しばかり考え込んだ後で、再び千尋の耳元に唇を寄せた。
「神子、大好き。」
千尋はひっと息を吸い込んで驚いて、それから深い溜め息をついた。
使う言葉は変わっているけれど、何の解決にもなっていない。
ところが…
「神子、やはりこっちの言葉だとたりない。」
何が足りないのかと千尋は聞かなかった。
遠夜の言いたいことはわかっているから。
「じゃあ、さっきの言葉に戻していいから、二人きりの時だけにしてね。」
「わかった。」
嬉しそうに微笑む遠夜はまた千尋に「愛している」と囁いた。
千尋は首まで赤くなりながら、それでもやっと「私もだよ」と返事をした。
遠夜の目が見開かれ、次にその顔に嬉しそうな笑みが浮かんだとき、千尋もたまには気持ちをちゃんと言葉にして囁いてあげようと心に決めた。
管理人のひとりごと
遠夜と言えば声。
聞けなかったからなぁ。
で、私の中では遠夜と白龍は同じ属性(笑)
二人とも無邪気さんってことです(^^)
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