布都彦は赤い顔で歩いていた。
左手にはいつも使っている槍、そして右手は小さくてやわらかい愛しい人の手を握っている。
少し先を歩く千尋に手を引かれるように布都彦は歩いていた。
辺りに人の目はないけれど、どうしても顔には熱が集まってしまって赤くなるのを止められない。
そうして手をつないで歩くことしばし。
二人は花の咲く草原へとやってきた。
「ほら、春になって凄く花がたくさん咲いたの。綺麗でしょう?」
「はい、確かに。」
千尋にうながされて布都彦は愛しい人と並んで草の上に座った。
春の陽射しは想像していたよりずっと温かくて、手をつないだまま並んで座ればそれだけで幸せを感じた。
「忍人さんや布都彦のおかげでこの辺は凄く治安が良くなったし、たまにならこんなふうに楽しんでもいいよね。」
「私のような者が少しでもお役に立てているのでしたら幸いです。」
「布都彦は頑張ってるよ。忍人さんも感心してたし。だから、今日くらいは休んで。私も一緒に休むから。」
そう言うと千尋はごろんとその場に寝転んだ。
そして握っている布都彦の手をそっと自分の方へ引き寄せる。
何を要求されているのかに気付いて、布都彦は頬を朱に染めながら千尋の隣に横になった。
陽の光を全身に浴びて、手には愛しい人の温もり。
緩やかな風も心地よくて、風には花の香が乗っていた。
「気持ちいいねぇ。」
「はい。」
そうして並んで横になることしばし、二人はいつの間にか目を閉じていた。
小さな寝息をたてて二人が寝入った頃、遠くから見つめる人影が微笑を深めた。
「こういう二人だから、俺達も微笑ましく思ってしまうんですよね。」
離れた場所から二人を見守る風早はそう言いながら自分もその場に座った。
視界には幸せそうに並んで眠る恋人達。
彼らの穏やかさや初々しさが周囲を穏やかに和ませることも多い。
そんな和やかな空気を風早は辺りへの警戒を怠らぬように気をつけながら自分もしっかりと味わっていた。
管理人のひとりごと
遠夜もなんですが、布都彦もほのぼのな感じがします。
二人並んでお昼寝とか是非やっていただきたかった!
でも女王と一緒に出かけた護衛が寝ちゃうってどうよ?
千尋ちゃんぴーんち!ってことでお父さんが見守ってます(w
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