
別に嫌なわけじゃない。
嫌なわけじゃないけれど、毎日これはどうかと思う。
千尋はそんなことを考えながらため息をついた。
「どうした?ため息などついて。」
「どうしたって……毎日っていうのは……。」
「ん?何がだ?」
背後から聞こえる声はどうやら本当に何を言われているのかわかっていないらしいアシュヴィンのものだ。
千尋は再び深いため息をついた。
「だから、どうして昼ごはん食べた後は必ずこうなるの?」
「俺がしたいからだ。」
それはそうだろう、と千尋は心の中でつぶやいた。
千尋が呆れているのは今の状況。
今の状況というのは千尋がアシュヴィンの足の間に座らされて後ろから抱きしめられているという状況のこと。
これがたまのことなら千尋だって嫌がったりはしない。
いや、毎日のことでも別に嫌なわけじゃない。
嫌なのではなくて、これはどうだろう?とちょっと疑問に思っているという感じだった。
「なんだ、お前は嫌なのか?」
背後から聞こえる声が急に小さく、そして悲しそうに翳った。
千尋は慌ててくるりと後ろを見ると、憂いを帯びたアシュヴィンの瞳を見つめて更に慌てた。
「い、嫌じゃないよ!嫌なわけじゃないから!」
「なら、かまわんな。」
「へ…。」
聞こえてきたのは予想外の言葉。
そして千尋の目に映ったのは予想外に楽しそうなアシュヴィンの笑顔。
やられたと思った時にはもう遅くて、千尋の体は更にアシュヴィンの腕にギュッと抱きしめられていた。
「やっ……その……アシュヴィン様、そろそろその……。」
控えめに声をかけてきたのはリブだった。
常世の皇であるアシュヴィンにはそうそう休憩の時間も与えられない。
食事の後の一時はそう長くはないと告げに来た腹心を一瞥したアシュヴィンは、深いため息をついて千尋を解放した。
「奥方殿も迷惑そうだしな、そろそろ仕事をするとしよう。」
「迷惑だなんて思ってない!」
「ほぅ、では、続きは夜だな。」
「へ…。」
ニヤリと笑みを残して去っていくアシュヴィンを見送って、千尋はまたやられたとため息をついた。
そしてそんな千尋を苦笑しながらリブが見守っていた。
管理人のひとりごと
つまり常世夫婦は毎日こんなことしてますっていう話(’’)
だいたいは殿下が上手、でもやりすぎると千尋ちゃんが更に上を行きます(笑)
ほんのちょっとの時間でも大好きなお妃様といたい、そんな殿下の図。
まあ、千尋ちゃんも嫌なわけじゃないですよ、嫌なわけじゃ。
仕事してほしいだけ(w