「や、陛下、お呼びでしょうか?」
朝早く、リブはアシュヴィンに呼び出されていた。
目の前には不機嫌そうな顔のアシュヴィンが立っている。
「これを頼む。」
アシュヴィンはくるりとリブに背を向けてそう言った。
広い背中には長い後ろ髪が揺れている。
「や、その髪はどうなさったので?いつものようになさらないのですか?」
「いつものように編みたいからお前を呼んだのだろうが。」
いらついているらしいアシュヴィンの声に苦笑して、リブはさっそくその髪に手を伸ばした。
「髪を編むのなら采女を呼んだ方がよろしいのでは?私も苦手ではないですが…。」
「それができないからお前を呼んだのだろうが。」
更にいらつくアシュヴィンの髪を器用に編みながら、リブは小首をかしげた。
「陛下、采女を呼ぶことができないと言うのは…。」
「千尋の機嫌が悪くなる。」
「は?」
一瞬、リブの手が止まった。
そして脳裏に采女に髪を編まれるアシュヴィンと、不機嫌な千尋の姿を思い浮かべて小さく一つうなずいた。
「なるほど。」
「なにが、なるほど、だ。」
「陛下に女性が触れるのはお嫌だということですね。」
「フンっ、だからお前にやらせてる。」
リブは手早く三つ編みを仕上げるとニコニコと笑みを浮かべて見せた。
振り返ったアシュヴィンが訝しげな顔でその様子を見つめる。
「なんだ?お前は機嫌がよさそうだな。」
「采女がいけないなら奥方様に編んで頂いては?」
「…昨日、夜遅くまで俺に付き合わせた。起こすのは忍びなかった。」
「付き合わせた、ですか…。」
「なんだ?」
「いえ、夫婦仲が良いのはいいことだと思いまして。」
「うるさい。無駄口たたいている暇があったら仕事をしろ。」
おそらくは照れているのだろう主の仕事を手伝い始めながら、リブは晴れやかな気持ちになっていた。
そして、そのうち自分も妬かれるようになるかもしれないなどと想像して、笑みを浮かべるのだった。
管理人のひとりごと
采女は女の人なので、千尋ちゃんは妬きます。
ってことで、アシュヴィンなりに気を使ってリブに編んでもらったわけです。
でも、リブとしてはそれじゃぁこっちが妬かれるのでは?と疑問に思ったと(w
まぁ、つまり常世夫婦はラブラブですな(’’)
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