千尋は那岐の姿を求めて歩き回っていた。
というのも、朝から姿を見ていない那岐が、何やら殺気立った顔をして歩いていたと采女が話しているのを耳にしたから。
那岐が不機嫌そうな顔で歩いていることは珍しくはないけれど、朝から一度も顔を見ていなかったから千尋の胸には霞のような不安が広がっていた。
一人で何か大きな悩みを抱えているんじゃないか?
もしかしたら体調が悪いのかもしれない。
那岐はあの通りの意地っ張りだから、少しくらい体調が悪くてもきっと誰にも言わないだろう。
そんなことを考えながら千尋は思いつくままに歩き回っていた。
けれど、どこにも那岐の姿は見当たらない。
思いつくところは全て歩き回って、それでも那岐は見つからなくて…
これはもう人に聞いてみるしかないと千尋が一度自分の部屋へ戻ってみると…
「那岐…。」
千尋が探していた仏頂面は千尋の自室の寝台の上にあった。
「何やってたのさ。」
想像通りの不機嫌そうな顔にため息をついて千尋は寝台の端に腰を下ろした。
「那岐を探してたんだよ。」
「はぁ?」
「なんだか朝から不機嫌そうだって話を聞いたから。」
「なんだよ、それ。」
「何かあった?」
「暑い。」
「それだけ?」
「暑いから千尋とどこかへ涼みに行こうとしただろ、そうしたら千尋がいなかった。」
面倒そうに言って那岐は寝台の上に寝転んだ。
どうやらこれは行き違っていただけらしいと気付いて、千尋も苦笑すると那岐の隣に寝転んだ。
「今からどこか行くなんてめんどくさいって思ってるでしょ。」
「思ってる。」
「じゃ、今日はこのまま昼寝。」
「そう言われるとこのまま寝るのもしゃくなんだけど。」
「へそ曲がりなんだから、那岐は。」
千尋が呆れながらもくすっと笑みを漏らしていると、急に視界に那岐の顔が映った。
千尋を見下ろす那岐の顔はもう仏頂面ではなくなっていて…
ゆっくりと近づいてくる那岐のやさしい顔に千尋も微笑んで、そしてゆっくりその目を閉じた。
管理人のひとりごと
色々心配してみましたが、まあ、結局不機嫌なのは千尋がいなかったからでしたと(’’)
那岐は暑い、うるさい、めんどくさいに弱そうです(笑)
そして結局どの場合も結論は寝るになりそうですね(’’)
でも恋人に寝るを提案されると逆らいたい、そんなお年頃です(笑)
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