
雲ひとつない晴天。
流れる温かな風。
その中を柊は一人、辺りにくまなく視線を配りながら歩いていた。
視線が探しているのは二ノ姫の姿だ。
部屋へ行ってみれば仕事が一段落して、外は天気が良かったので散歩に出たと采女に言われた。
采女の話を聞いて柊はすぐ外へと探しに出たのだ。
供には風早がついているから問題はない。
それでも柊が千尋を探し続けているのは、王に呼んできてほしいと頼まれたからだった。
王の頼みとあっては柊に断ることなどできるはずもなく、柊は森の中へと足を踏み入れることになった。
すると、少し奥へ入ったところにある大木の下に、柊の捜し求めた姿はあった。
ただし、もちろん一人ではなく風早が一緒だ。
しかも千尋はその風早に背後から抱えられるように抱かれている状態で座っていて、すっかりその身を風早に預けて目を閉じていた。
近付く柊にいち早く気付いた風早がそっと自分の口に指を立てて見せるのにうなずいて、柊は音をたてないようにそっと歩み寄った。
「これはこれは。」
「柊が探しに来るなんて珍しいな。何か急用ですか?」
「急用というほどじゃないんですが、王がたまに二ノ姫とお茶でもとお望みなので。」
「あれ…。」
「ああ、羽張彦が忍人との鍛錬に夢中で…。」
つまり、恋人に相手にしてもらえない自由な時間ができてしまったということか。
と悟って、羽張彦も今日は休みと知っていた風早は柊と二人、苦笑を交わした。
「二ノ姫はずいぶんと気持ち良さそうにお休み中ですね。見つかりませんでしたと報告しておきましょうか?」
「それは千尋に後で怒られそうなので。」
そう言って風早はそっと千尋を横抱きに抱えると、静かに立ち上がって歩き出した。
風早の腕の中で少しだけ声を漏らした千尋は、どうやら目を覚ます様子はない。
柊は風早の隣に並んで苦笑した。
「そこまでしますか。」
「千尋はとても頑張っていますから、眠れるときにはなるべく寝かせておいてあげたいんですよ。」
幸せそうに微笑む風早と苦笑を浮かべたままの柊は、それ以降何も言わず、ただ千尋の寝顔を見守って歩いた。
そして、やっと王の元へと到着して風早に起こされた千尋は、どうして起こしてくれなかったのかと風早に拗ねて見せることになった。
困り果てる風早と拗ねる千尋。
二人の姿を王と柊は苦笑しながら温かく見守るのだった。
管理人のひとりごと
二人で姿が見えなくなった時は気を使おうよ!っていう話(マテ
風早は千尋の体第一なので、お昼寝の邪魔なんかしません(笑)
でも千尋としては、風早とおしゃべりもしたかったので起こしてほしかったと。
で、そんな痴話げんかをいつも見せ付けられるのが周りっていうお話(オイ
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