「独り身最後の一時を共に過ごそうというだけのことではありませんか。」
そう言って呆れて見せたのは柊だ。
酒とちょっとした料理を囲んで今、柊、風早、道臣が忍人と車座になって座っていた。
妻を持つと男は付き合いが悪くなるから、今のうちに共に飲もうと言い出したのは風早だった。
あっという間に柊が乗り気になり、道臣が巻き込まれ、忍人が連行されてきて今に至る。
「俺はお前ほど暇ではない。」
「私は有能なので。」
切り返した柊に忍人の視線が突き刺さったが、柊本人は何食わぬ顔だ。
「でもまぁ、忍人が正式に王の夫となればこのように親しげにすることはかなわなくなりますから、いい機会です。」
一人穏やかなのは道臣だった。
もともとの性格も穏やかだが、文官として力を発揮できる今の状況が彼をすっかり本来の人柄に戻したのかもしれない。
「まあ、本当に忍人が我が君の夫として愛想をつかされることなくやっていけるのか、ということの方が私は疑問ですが。」
「……。」
さすがの忍人もこの柊の言葉には黙り込んでしまった。
何しろ戦では負けたことなく無敵を誇る将軍も、愛しい女性に対しては戸惑うことばかりで、時には大切な恋人を泣かせてしまうこともあるのだ。
「忍人…。」
いつもと違う風早の低い声に、一同の視線は風早に集中した。
注目された風早はというと…完全に目が据わっている。
「俺のお育てした姫に間違いは絶対にありません。」
「あ、ああ…。」
「もし何か問題が起きるとしたら、その原因は絶対に忍人の方にあります…。」
絶句する忍人に風早はじりじりと杯片手に詰め寄る。
「俺の千尋を泣かせたりしたら、絶対に許し……。」
『風早!』
言葉半ばで風早は忍人へ向かって倒れこんだ。
慌てて一同が覗き込むと、明らかな寝息をたてている。
「まあ、義父みたいなものですから、そのまま忍人がどうぞ。」
柊の言葉に道臣は優しく微笑み、忍人は何も言えなかった。
そして後日…
憮然とした顔のまま酔った風早を忍人が介抱したという話はあっという間に人々の口にのぼり、風早はしっかり千尋に説教されることになるのだった。
管理人のひとりごと
独身最後のパーティを同門のみんなで!という企画でした(笑)
風早はね、娘を取られる父の心境(爆)
そりゃ婿になる忍人さんは面倒みてあげないと(w
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