
アシュヴィンは目を開けてまだ部屋の中が薄暗いことに気付いた。
傍らには幸せなぬくもりと腕の上に優しい重みを感じる。
朝が来たのだと把握するまで数秒。
腕の上の重みへと目を向ければ、そこには金の髪が流れていた。
アシュヴィンの腕枕で眠っているのはもちろん愛しい妻の千尋だ。
皇としての職務が待っている以上、早く身を起こして政務に向かうのが最善であることはわかっているが…
このまま千尋を手放すことはアシュヴィンには不可能だった。
愛しい妻の碧い瞳を見つめたい。
その愛らしい声で名を呼んで欲しい。
望みは多々あるけれど、それらは全て妻を起こさなければかなわない。
愛らしい寝顔を見てしまっては千尋を起こすこともためらわれて、アシュヴィンはそっと千尋の頭の下から己の腕を抜いた。
「う〜ん…。」
小さく声を漏らして千尋がその体をアシュヴィンの方へと寄せる。
アシュヴィンは苦笑しながら上半身を起こした。
起きている時の千尋はなかなかこんなふうに甘えてはくれない。
だから、少しばかりこの状況が惜しいような気もするのだ。
アシュヴィンは起こさないようにそっと千尋のなめらかな頬に口づけた。
唇を離して金の髪を優しく撫でて、アシュヴィンは千尋に背を向けた。
寝台から立ち上がるためだ。
けれど…
「アシュヴィン?」
背後から眠そうな千尋の声が聞こえて、アシュヴィンははっと振り返った。
「起こしてしまったか?」
「うん…朝?」
「ああ、お前はもう少し眠っていていい。」
アシュヴィンはそう言うとまぶしそうに千尋を見つめて金の髪を撫でた。
何を思ったか千尋がその手をとって口づける。
慌てたのはアシュヴィンだ。
「千尋?」
「…アシュヴィン……大好き…。」
千尋は口づけたばかりのアシュヴィンの手を両手で包み込んで目を閉じる。
アシュヴィンはやられたとばかりに溜め息をつくと、千尋の隣に再び体を横たえた。
どうやら政務を始めるのはもう少し先になりそうだ。
寝ぼけているとはいえ、こんなに愛らしく妻に囁かれたのではアシュヴィンが千尋の側を離れられるわけがなかった。
数十分後、アシュヴィンは目覚めた千尋に寝ぼけた告白の話をして聞かせ、真っ赤になってテレる愛しい妻をまた堪能することに成功するのだった。
管理人のひとりごと
寝ぼけた千尋ちゃんに悩殺される殿下の図(笑)
よく襲わなかったな、殿下(’’)(マテ
まあ、襲った場合、その後で岩戸発動だな(コラ
たまにはこんな平和にイチャイチャするお二人もいいかなと(w
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