
射し込む日の光。
風のない穏やかな午後。
戦いがなければ楽しげな笑い声が聞こえてくるのが天鳥舟の堅庭だ。
風早はそんなにぎやかな声を耳にして、そっと堅庭を覗き込んだ。
するとそこには楽しそうに笑っている千尋の姿があった。
千尋は遠夜、サザキ、那岐、布都彦といった中間達と共にそこにいた。
那岐は相変わらずだが、他の面々は千尋を中心に笑顔で座っている。
まだまだ問題は山積みで、つらい戦いが続くとわかってはいる。
わかってはいるけれど、だからこそ笑える時には笑っておく。
それでいいと風早は思っている。
いや、今がどんな時かなんてそんなことはどうだっていい。
ただ千尋が笑っていてさえくれれば。
そう思っている自分に気づいて、風早は苦笑した。
千尋がどんな未来を選択しても、自分はそれを見守るだけだ。
ただひたすら千尋が幸せであることを祈って。
「あ、風早!」
風早は耳慣れた愛らしい声に名を呼ばれて笑みを浮かべながら堅庭へと足を踏み入れた。
いつだって自分の名を呼んでくれる千尋の声は風早の心を暖かくしてくれる。
「見つかってしまいましたか。」
「何してたの?早く入ってきたらいいのに。」
「見てたんです、楽しそうにしていたので。」
「サザキが面白い仲間の話をしてくれてたの。風早も一緒に聞けばよかったのに。」
「俺は楽しそうなみんなを見ている方が楽しいんですよ。」
「それ、ストーカーっぽいよ。」
「那岐!」
不機嫌そうな那岐とそんな那岐を睨みつける千尋を見比べて、やっぱり風早は笑みを浮かべた。
「なに笑ってんの。」
「いや、こういうのはいいなと。」
「こういうの?」
不機嫌そうな那岐とはうってかわって千尋が小首をかしげる。
「ええ、みんなでわいわいさわいでる、そういうのです。」
風早のこの言葉に、皆が一瞬黙り込んだ。
今がどんな時かよくわかっているから。
「そう、だね。うん、またみんなで騒げるように頑張らなきゃ。」
一人千尋がそう言うとサザキがポリポリと頭をかきながら立ち上がった。
「姫さん、飛ぼうぜ!」
「サザキ……うん、お願い。」
一瞬驚いてからすぐに笑顔になった千尋を抱えて、サザキは空へと舞い上がった。
陽の光の中を舞う千尋を風早は笑顔で見守った。
彼女の幸せを神に祈ったりはしない。
必ず自分の手で守るのだと、その胸に誓いながら。
管理人のひとりごと
確か風早は何度も何度も千尋が色々な道を選択するのを見守ってきたはず。
ということで、ゲーム中もこんなふうに千尋を見守っていたのだろうなぁと。
麒麟だからね、ちょっと達観したところがあってもいいと思ったんですが…
やっぱり風早父さんは千尋に盲目なのがいいな(’’)(コラ
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