
「ん〜、ああ、ここ覚えてないよぉ。」
「覚えておいた方がいいと思いますよ。」
「風早、まさかテスト問題を教えてるんじゃないだろうな?」
「まさか、いくら俺でもそこまで甘くないですよ。」
「どうだか。」
那岐はあきれたようにそう言ってジュースの入ったコップを手に自分の部屋へと姿を消した。
残ったのは参考書と格闘している千尋と、千尋に勉強を教えている風早の二人。
「風早、本当にテストに出るところだけを教えてるんじゃないよね?」
「もちろんです。テストに出そうな重要なところを教えてるんですよ。」
「そ、それは…かなりテストに出るところだけを教えてるのに近いような気がするんだけど…。」
「そんなことはないですよ。そんなことしたら千尋のためにならないじゃないですか。俺がそんな千尋のためにならないことをすると思いますか?」
「あ、それは思わない。」
そう言って千尋はふっと微笑んだ。
千尋の笑顔に一瞬はっとして、それからすぐに我に返って風早は立ち上がる。
「風早?」
「少し休憩にしましょう。」
そう言って風早は千尋のためにゆっくり時間をかけて丁寧に紅茶をいれる。
「でもやっぱり風早は私に甘いよ、甘すぎ。」
「そんなことありませんよ。」
「だって、今もそうやって私のためにお茶をいれてくれてるじゃない。」
「これくらいは…。」
そう言って紅茶をなみなみと注いだティーカップを千尋の前において、風早はニコニコと微笑んで見せる。
「ほら、やっぱり、風早は私のこと甘やかしすぎだよ。」
「…千尋は頑張り屋ですから…今くらいは…。」
そう言って風早は千尋の髪に手を伸ばした。
その手が千尋の長い髪をすくい上げて、髪の上を風早の唇が軽くかすめた。
「か、風早?何してるの?」
「いえ、千尋は頑張りすぎるくらいなので少し甘くするくらいがちょうどいいんです。」
そう言って再びニコニコと微笑んだ風早は千尋の髪を解放した。
「そうじゃなくて、今…。」
「さ、勉強を再開しましょう。」
そう言って微笑まれてしまえば自分を甘やかしすぎだといった手前、千尋が逆らえるわけもなく…
今のは髪にキスしてたよね?と問いただすタイミングを逸して、千尋は参考書との格闘を再開した。
千尋が柊に出会い、中つ国の二ノ姫として異世界へ旅立つのはこれから数日後のこと。
今はまだ穏やかな生活の中で日常にたたずむ千尋を風早は暖かく見つめるのだった。
管理人のひとりごと
風早は絶対、現代にいる時から千尋が好きだったっ!
という管理人の妄想です(’’)
千尋はしっかりしているから風早がどんなに甘やかしても大丈夫そう。
でも、ちゃんと一線はひいて接している、それが風早。
というか、管理人が風早に入れ込んでいるため、那岐が常につっこみに…
現代での3人での生活はきっと静かで穏やかだっただろうなぁという一場面でした。
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