舞ひ落ちる
 風流などという戦の勝敗に何ら関係ないものに、忍人は興味を持ったことがなかった。

 それは、もしかすると忍人自身の性質というよりは環境のせいだったかもしれない。

 現に今、忍人は紅に染まった楓の木の下で、その色付いた葉を愛でている。

 戦に追われていた日々が終わりを告げた今だから、忍人は落ち着いた心持で美しい木々を眺めることができた。

 もちろん、今でも戦が皆無というわけではない。

 それでも以前に比べればずっと平和になった。

 それに何より、今の忍人には守りたいと思う人がいる。

 今まで中つ国のために命をかけてきた忍人にとって、命をかけて守りたいと思う女性ができたことは大きな変化だった。

 その女性の存在が忍人の心に風流を解する余裕を与えたのかもしれない。

 こんなにも美しい葉なら千尋に持っていけば喜ぶだろうか?

 喜んであの美しい笑顔を見せてくれるだろうか?

 それとも、明日にでも共に眺めようと誘うべきだろうか?

 その方が彼女は喜ぶかもしれない。

 忍人の脳裏には常に千尋の顔が浮かんでいる。

 一度、千尋のことを想ってしまうとあとはとどまるところを知らなくて…

 そんな自分に思わず苦笑して忍人が深い溜め息をついたその時

「忍人さん?」

 聞きたい聞きたいと思っていたその声に、忍人は慌てて振り返る。

「うわぁ、綺麗な紅葉ですね。」

 ついさっきまで忍人が見とれていた木の葉に目を移して、千尋は満面の笑みを浮かべた。

「そう、だな。」

 ただそうとだけ答えた忍人に、千尋は嬉しそうに微笑んだ。

 目の前には美しい紅葉。

 その木の下には愛しい人。

 夢ではない、確かな存在のその人に、忍人は優しく手をのばした。





管理人のひとりごと

無愛想な将軍も心の中ではいつも千尋ちゃんを想っているのよっていうお話です。
不器用そうだから、なかなか態度には出ませんが、たぶんその分、いつも想ってるんじゃないかなと。
某武士の方が態度に出やすいです、たぶん、神子殿命だから(’’)
忍人さんの方がわかりづらそうですが、千尋ちゃんの方が押しが強いから大丈夫!(マテ






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