二人乗り
 千尋は風を切って空を飛んでいた。

 背中には心安らぐぬくもりがある。

 眼下には美しい緑の風景画流れていた。

「どうだ?」

「どうって……。」

 背後から聞こえた声に千尋は溜め息をついた。

 声の主はもちろんアシュヴィンだ。

 二人がまたがっているのは黒麒麟の背で、急なアシュヴィンの思いつきで千尋は空の散歩へと連れ出されたのだった。

「なんだ、俺の后殿にはお気に召さなかったのか?」

「お気に召すとかじゃなくて、どうして急に空の散歩なんて言い出したの?」

「たまにはいいだろう。」

「いいけど、急だったから……仕事、大丈夫?」

「仕事を気にしてちゃ何もできん。」

「それはまぁ…。」

 確かにアシュヴィンの言う通りなのだが、だからといって急に空の散歩というのも不自然だ。

 千尋は後ろを振り返り、心配そうな顔でアシュヴィンを見つめた。

「何か、あったの?」

 急な妻の憂い顔に一瞬目を丸くしたアシュヴィンは、すぐに優しく微笑んで千尋の頬を撫でた。

「アシュヴィン?」

「お前があまりかわいい顔をしてくれるから嬉しくなったじゃないか。」

「かわいいって…心配してるだけだから…。」

「心配はいらん。ただ、お前と二人でこいつの散歩をしてやりたいと思っただけだ。」

 そういってアシュヴィンは黒麒麟の背をポンポンと軽くたたいた。

 すると黒麒麟が気持ちよさそうに息を吐く。

「だから、どうして急に?」

「お前は最近こいつと、あの白いのも連れてよく散歩に出るだろう。」

「うん、それが?」

「それが気に入らん。」

「へ?」

「あの白いのがどうもな…。」

 眉を寄せるアシュヴィンを見て千尋はクスッと笑みを漏らした。

「何がおかしい?」

「白麒麟に妬くなんて変なアシュヴィン。」

 そう言っておかしそうに笑う千尋の体をアシュヴィンはぎゅっと抱きしめた。

 すると何を指示されたわけでもないのに、黒麒麟が空を駆ける速度を上げた。

「ちょ、アシュヴィン?」

「今日は一日、しっかり俺に付き合ってもらうぞ。」

「それは…うん、大歓迎。」

 千尋の答えに苦笑してアシュヴィンは小さな体を抱く腕に更に力をこめた。

 なんだかんだ言いながら、一生自分はこの妻にはかなわないらしい。

 そう自覚しながらアシュヴィンは最愛の妻との一日に思いを馳せた。





管理人のひとりごと

本能で(笑)あの白い麒麟が胡散臭いと感じる殿下です(w
妻をとられてなるものか!みたいな感じでさらってきましたよ!
放置された仕事はたぶんリブが何とかしてくれる(’’)
リブでなんとかできないなら殿下は出かけたりしないので(^^)
まぁ、アシュヴィンは強引そうに見えて実は千尋にはかなわない、そんな感じがします(w







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