
千尋は風早に髪を梳いて可愛らしい花の髪飾りをつけてもらった。
最近は以前よりも自分の身なりが気になって、こうして朝自分の望みどおりに髪を整えてくれる人がいるのはとても有り難い。
お願いするとこの従者はそれこそ幸福の極みという顔で承知してくれるものだから、千尋もなんの不思議もなく毎日身なりを整える手伝いをしてもらっている。
「有難う、風早。」
「今日もかわいいですよ、千尋。」
「かわいいって…風早はもう。」
ちょっとだけ頬を赤くする千尋は本当に愛らしいと風早が一人うなずいていると、部屋の扉がゆっくり開いて不機嫌そうな顔で那岐が姿を現した。
「あ、那岐、おはよう。今日は早いんだね。」
「暑くならないうちに散歩に行こうって昨日無理やり約束させたの千尋だろう?」
「そうだけど、絶対那岐は起こしに行かないと起きないと思ってた。」
そう言って楽しそうに笑う千尋。
その千尋から那岐は不機嫌そうな視線を傍らの風早へと移した。
いつも不機嫌そうな顔をしているのは変わらない那岐だが、満足気に千尋を眺めている風早には今、刺さるような視線を向けている。
「那岐?どうかした?」
「あんた、朝っぱらから千尋の部屋で何してるの?」
「俺ですか?」
「他に誰がいるのさ。」
「まぁ、千尋の髪を整えに来てるんですが。」
そう言って風早は苦笑した。
向こうの世界でも一緒に暮らしていただけに風早には那岐の今の感情の動きが手に取るようにわかる。
「千尋、いい年なんだからもう父親に髪を整えさせるとかやめたら?」
「い、いい年って!おばさんみたいに言わないで!それに風早はお父さんじゃないし。」
「じゃぁ、なに?」
「何って……。」
問われて千尋はニコニコと微笑んでいる風早を見て改めて考えてしまった。
父親じゃないなら風早は?
「えっと…保護者?」
「それを巷では父親っていうんだと思うけど?」
「び、微妙に違う、と、思う…。」
「千尋、那岐は妬いてるんですよ。」
「なっ…。」
思いがけない風早の言葉に那岐が凍りついた。
そして千尋はキョトンとした顔で那岐を見つめる。
「俺はお父さんでかまわないんですが、恋人になった那岐が妬くようなのでこれで退散します。明日からは呼ばれない限り来ないことにしますから、那岐、代わりに千尋の髪を整えてあげてください。」
風早は少し強めに那岐の肩をポンッと叩くと、二人に何も言わせずに去っていってしまった。
部屋に取り残された二人は、視線を交わしただけでお互い何も言えず、そのまましばらくは赤い顔で立ち尽くすことになるのだった。
管理人のひとりごと
現代にいたことがある3人組は関係が変化するとやりづらいんじゃないかなと思いました。
風早EDの場合は那岐に現代での生活の記憶がないのでそんな面倒なことにはならないんでしょうが、那岐EDの場合はね。
風早がお父さんじゃないなら何?と聞かれればまぁたぶん守護神なんですが(笑)
那岐EDでは父さんの正体ばれないはずなので(’’)(コラ
たぶん風早があんな感じなので妬いたりあたふたしたりするのは那岐の方でしょう。
風早父さんは神様なだけに達観してそうだから(’’)
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