
窓から外を眺めていた千尋はハッと顔を上げて隣にたたずんでいる恋人の顔を見上げた。
いつも穏やかに微笑んでいるその顔は今日もいつものように穏やかだ。
その昔は何からでさえも自分を守り育ててくれた人。
そして今はかけがえのない恋人。
そんな人は毎日毎日飽きもせず、自分の側にこうして張り付いていてくれる。
でも、きっと子供の頃は迷惑をかけたことも一度や二度じゃないだろうし、いくら彼が元は人でないものだったとしても嫌気がさしたことだってあるんじゃないだろうか?
ふとそんなことまで考えてしまって、千尋は整った恋人の顔を凝視してしまった。
人当たりは良くても武人である風早がそれに気付かないはずもなくて、横顔はゆっくりと千尋の方へとその向きを変えた。
「俺はそんなに見惚れるほどいい男ですか?」
「へ、あ、うん、いい男、だとは思うけど…。」
「そう言ってもらえると嬉しいですが…『けど』の続きが気になります。」
そう言って顔を近づけられて、千尋は硬直してしまった。
「えっと、その、風早は小さい頃からずっと私のことを見守ってくれていたわけで、そういうのってなんていうか、面倒だったりしたんじゃないのかなって……そんな面倒なこともあったのに私のどこがよくてこんなにいつも一緒にいてくれるのかなって思って……。」
だんだん小さくなっていく千尋の声に一瞬驚いた風早は、すぐに千尋の体を抱きしめた。
「俺は、そうですね、千尋のこの髪が大好きだし、小さな体も細い肩も、優しいところもみんな好きですよ。」
そう言って髪をなでられて愛しそうに目を細められて…
千尋はこれ以上ないほど目の前で惚気られて顔を真っ赤にした。
「そ、そういう恥ずかしいことを…。」
「聞いたのは千尋じゃないですか。」
「それはそうなんだけど……。」
「俺は千尋の何もかもが好きですよ。小さい頃は本当に愛らしくて天使のようでした。それなのに千尋は周囲のことをとても気にして傷ついていて…そんな繊細なところも愛らしかったです。」
「……。」
「その千尋がこんなに強くて美しい女性になって、俺が好きにならないはずがない。」
「……。」
「可愛らしいところはそのままに凛としていて立派な女性になったし、それに……。」
「待った!」
「はい?」
「もういいから、よーくわかったから……。」
これ以上聞かされたら恥ずかしくて溶けてしまいそうだ。
千尋は真っ赤な顔で風早を上目遣いににらみつけた。
「そういうふうに拗ねるところもとっても可愛いですよ。」
そう言って口づけられて、千尋は本当に自分が溶け出すのではないかと思うほど恥ずかしくて…
「俺はどんな千尋も好きですよ。」
「わかったから…。」
首まで赤くなる千尋を風早は幸せそうな笑顔で抱きしめた。
どこが好きかなんてそんなこと聞かれても答えられはしない。
そこもかしこも何もかも、その全てが愛しくてしかたがないのだから。
風早はそんな想いを千尋を抱きしめる腕にこめた。
管理人のひとりごと
風早父さんはちび千尋も大人の千尋もおばあちゃんだろうが来世だろうが何でも好きって話です(’’)(マテ
風早父さんの好きは神様の慈愛に近い感情なんだろうなぁと思うわけです。
元は神様の端くれなわけだしね。
でも神様の慈愛よりもそれは凄く狭くて、千尋ちゃんにのみ向けられているんです(’’)
でも恋する乙女としてはどうして自分なんかが好かれているんだろう?とちょっと疑問に思っちゃったりするわけですよ。
疑問に思ったが最後、風早父さんに切々と説かれると(笑)
風早はそんな人だと思います(’’)
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