
アシュヴィンは真剣な眼差しで竹簡に目を通している。
それらは他国からもたらされた外交的に重要なものだ。
重要なもののはずなのだが、アシュヴィンはその重要な竹簡を寝台の上に座って眺めていた。
部屋義の前合わせが少しだらしなく乱れていて、いつもはきちんと編んである髪も解かれたままだ。
だらしなく両足を前に放り出し、くつろいでいる姿はどう見ても休日の寝起きといった感じだった。
「ねぇ、アシュヴィン。」
「ん?なんだ?」
竹簡からは目を離さずにアシュヴィンが答えた声の主はもちろん愛しい妻の千尋だ。
そしてその千尋はというとアシュヴィンの隣にちょこんと座っていた。
「やっぱりちゃんと部屋に行って執務した方がいいんじゃない?」
「せっかくの休日に仕事をねじ込まれたんだぞ?仕事部屋なんぞ見たくもない。」
「それはまぁ…気持ちはわかるけど…。」
こんなふうに丸一日を休めるのは一ヶ月ぶりだというのに、朝起きるとすぐにリブが急ぎの仕事だと言って竹簡を持ち込んできたのだ。
アシュヴィンはまさに今、その竹簡と格闘しているというわけで、本人は意地でもいつも仕事をしている部屋へ行く気はないようだった。
「それに…。」
「え?」
「もう終わった。」
そう言ってアシュヴィンは読んでいた竹簡を放り投げると、すぐに千尋の肩を抱き寄せた。
「ちょ、アシュヴィン!」
「仕事は終わったぞ。」
「終わってないでしょ?急ぎって、あれを読んで何か指示してほしいってことだったんじゃないの?」
「まぁな。」
「だったらせめて指示をリブにすぐ出してあげないとダメじゃない。」
腕の中でそんなふうに説教をされて厳しい眼差しで見上げられてはアシュヴィンもさすがにこのまま押し切ることはできなくて…
不機嫌な千尋に優しく口づけて小さな体をギュッと抱きしめてすぐに解放すると、自分は寝台から立ち上がった。
「アシュヴィン?」
「せっかくの休みにお前の機嫌を損ねてはつまらんからな。先にリブに指示を出してくる。その代わり、今日は一日お前の美しい笑顔を見せてくれよ。」
「う、美しいかどうかはともかく、うん、二人で楽しく、ね。」
寝台の上のぺたりと座って微笑む千尋はいつにも増してとても愛らしい。
アシュヴィンはそんな千尋を一日独り占めするために、いそいそと寝室を後にした。
管理人のひとりごと
日常っていうか、まぁ、ある休日の朝?
殿下は休みだっていっても忙しいのですよ。
で、サボろうとすると千尋ちゃんに怒られます(’’)
そして千尋ちゃんに怒られると殿下は逆らえません(マテ
いつもは千尋ちゃんを怒らせてしまう殿下ですが、今回はご機嫌とりに成功したので楽しい一日を過ごせるようです(コラ
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