
千尋は鏡の前で髪型を整えて、全身をくまなくチェックした。
明日から高校生。
受験勉強をずっと手伝ってくれていた風早に一番に制服姿を見せてあげなくちゃ。
それは高校に合格した時からずっと思っていたこと。
明日は入学式だから特別に見せるなら今夜しかない。
千尋は鏡に向かって一つうなずいてリビングへ向かった。
千尋がリビングのドアを開けると風早はソファに座って本を読んでいた。
テーブルの上には風早専用のマグカップ。
どうやらコーヒーを飲みながら読書を楽しんでいたらしい風早は、千尋の気配を感じて視線を上げた。
そして千尋の姿を認めたとたんにその顔に優しい笑みが浮かんだ。
「制服、着てみたんですね。」
「うん、どう?似合ってる?」
「ええ、とてもよく似合ってますよ、新しい髪型も。」
「風早には受験勉強いっぱい手伝ってもらったし、一番に見せたかったの。」
「手伝った甲斐がありました。でも本当によく似合ってます。きっと学校の人気者になりますね。」
「あはは、そんなことはないと思うけど…風早は贔屓目すぎ。」
「いえ、ある日突然彼氏ができたから会ってとか言われるんだろうなと思うと…。」
「ないないない!それはないっ!」
風早の顔がなんだかとても悲しそうに見えて、千尋は思わず力いっぱい否定してしまった。
そんな顔をさせたくて制服を着て見せたんじゃない。
「そこまで否定されるとそれはそれで心配になるんですが…。」
「私より風早の方が心配だよ。風早ってもてそうなのに彼女できたことないし…。」
「心配、なんですか?」
「へ、そりゃ、まぁ…。」
風早は深い溜め息をついて悲しそうな苦笑を浮かべた。
「風早?」
「俺としては風早がよそのお姉さんにとられちゃうのはいやって言ってもらえないのは寂しいんですが。」
「そ、それ、私が何歳の時の話してるかなぁ…。」
千尋は顔を真っ赤にして慌てた。
するととたんに風早はいつもの笑顔を取り戻した。
「まぁ、千尋に恋人ができた時は俺が千尋にふさわしい人かどうかをちゃんと見極めてあげますよ。」
「風早の審査かぁ、厳しそう。」
「もちろん厳しいですよ。大事な千尋の恋人になる人を見るんですからね。」
「風早ってば親バカなんだから。」
そう言って二人は微笑を交わした。
「さ、今日はもう寝ましょう。明日の入学式に遅刻するわけにはいきません。」
「そうだね、じゃ、また明日。」
「ええ、また明日、おやすみなさい。」
「おやすみなさい。」
愛らしい笑顔でそう言って、千尋は自分の部屋へと戻っていった。
残された風早は優しい笑顔で千尋を見送ると、ほっと溜め息をついてマグカップを手にとった。
千尋に恋人を紹介される日のことを考えると、まだしばらくは眠れそうになかった。
管理人のひとりごと
千尋ちゃんに恋人を紹介される日…「風早、ハイ、私の旦那様♪」…と殿下を紹介される日(’’)(マテ
まぁ、結局、誰を紹介されても風早父さんは心配するし、でも千尋が好きな人ならってあきらめるんだろうなぁ。
損な役回りだ(’’)(コラ
でも管理人は父さん贔屓なので(爆)これからも父さんにはいい思いをさせますよ!
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