
綺麗に晴れ渡った青い空。
窓からそんな空を見上げて千尋は溜め息をついた。
常世での生活には別に不満はない。
新しい皇の妃として皆が親切にしてくれるし、共に戦った仲間のリブもいる。
皇の妃は想像していたより忙しいけれど、それもやりがいがある。
アシュヴィンは少し強引なところもあるけれど、とても優しい。
なかなかアシュヴィンと一緒にいることができないのは寂しいけれど、それは常世の平和のためだ。
毎日の生活に不満はない。
ないけれど……
「サザキがいてくれたらなぁ…。」
あまり時間は取れなくても視察に行っているアシュヴィンにひとっ飛びで会いにいけるかも。
そんなことを考えて千尋が溜め息をつくと、いきなり小さな千尋の体がふわりと宙に浮いた。
「へ?」
慌てて千尋がキョロキョロと視線を泳がせると、自分を抱き上げているアシュヴィンの視線にぶつかった。
「アシュヴィン!視察じゃなかったの?」
「特に問題がなかったからな。早く引き上げてきてみれば、俺の妃は夫以外の男の名を呼んで溜め息などついている始末だ。」
「え?ええぇ?」
千尋は目を丸くして慌てた。
明らかにアシュヴィンは何か誤解をしていて、声が異様に不機嫌だ。
誤解を早く解かなくてはと千尋が焦っているうちに、窓の向こうに黒麒麟が姿を現した。
「アシュヴィン?」
千尋が更に目を大きく見開いている間にアシュヴィンは千尋を抱いたまま黒麒麟に飛び乗った。
するとすぐに黒麒麟は空へと駆け上がる。
「空を駆けることくらい俺にもできる。で、愛しい男にどこへ連れて行ってもらうつもりだったんだ?」
「い、愛しいって…。」
「夫が不在の時に想う男だ、愛しいといってもいいだろう?ほら、言えよ、どこへ行きたかったんだ?俺が連れて行ってやる。」
「連れていってやるって言われても…。」
「なんだ、俺が連れて行くのでは不服か?」
「そうじゃなくてっ!サザキがいたらアシュヴィンのいるところまでひとっ飛びで行ってもらえるなって思ってただけなの!」
腕の中で赤い顔でそう言われて、アシュヴィンは目を見開いた。
今、千尋に言われたことをよくよく考えて、その顔に幸せそうな笑みを浮かべて…
アシュヴィンは千尋の小さな体を抱きしめた。
「俺はこうしてお前の元へ帰ってきたぞ。」
「うん、だから、行き先がなくなっちゃったの。」
「それなら、このまま空の散歩としゃれこもう。」
黒麒麟が空高く駆け上がった。
優しく微笑みを交わす二人を乗せて。
管理人のひとりごと
殿下が軽く嫉妬するお話でした♪
でも、こういう場合、実際にはアシュヴィンだと有無を言わさず押し倒しそうな気もする(’’)(マテ
まぁ、かわいくいちゃついているっていうだけの話とも言います!
たまに殿下がやきもちっていう話もいいかなと思ったんですが…
かわいくやきもちやいてくれるタイプじゃありませんでした(’’)
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