
風早は苦笑を浮かべながら目の前の面々を見渡した。
そこに座っているのは岩長姫とその弟子の面々だ。
一同が囲んでいるのは酒とつまみ。
つまり、まだ陽も高いというのに岩長姫一門は酒宴に突入しているというわけだ。
「まったく、あんた達ときたら、そろいもそろって使えないねぇ。」
杯片手に岩長姫がゆっくりと、忍人、柊、道臣を眺めた。
岩長姫の視線を受けなかった風早と羽張彦が視線を交わして小首を傾げる。
「お言葉ですが、なんのおはなしでしょうか?師君。」
機嫌悪そうに口を開いた忍人を岩長姫はギロリとにらみつけた。
「そんなだから風早にニノ姫を持っていかれるんだよ。」
忍人の眼光にもまったくひるまない岩長姫の言葉に、忍人は黙ったまま憮然とし、道臣は困ったように苦笑して、柊だけは余裕の笑みを浮かべた。
「なるほど。確かに忍人のこの無愛想な顔では美しき花の心をとらえるのは不可能でしょうね。」
「そういうあんたのそのよく回る口でもニノ姫には相手にされなかったってわかってるのかい?」
「これはまた、師君は手厳しい。」
容赦のない岩長姫の言葉に柊が苦笑する。
だが、岩長姫はそんな柊などは無視して道臣へと視線を向けた。
「あんたが一番見込みがあると思ってたんだけどねぇ。その気弱な所が致命傷だよ…。」
深い溜め息をつく岩長姫に道臣は苦笑するしかない。
忍人、柊、道臣が連続して撃沈した中で、次に口を開いたのは羽張彦だった。
「なんで俺のことは無視なんです?」
不満げにそういう羽張彦にこの場にいる全員の視線が刺さった。
そして岩長姫は今日一番機嫌の悪い顔で口を開いた。
「あんたにはもう一ノ姫がいるだろうが、まったく、一ノ姫はなんだってこんなのを気に入ったのやら。」
「そりゃないですよ。姉妹二人から好かれるなんてのはありそうな話でしょう。」
「バカかい、あんたは。」
岩長姫に一蹴されて、羽張彦は不満げな顔で黙り込む。
「そんなことを言っていると、一ノ姫に報告しますよ、今の話の内容を。」
「お、おいっ!柊!」
急にあわてる羽張彦に全員がクスリと笑みを漏らした。
からかわれたのだと悟って羽張彦が溜め息をつくと、一同は笑みをおさめ、同時に風早が立ち上がった。
「風早?どうしたんだい?」
「すみません。俺はそろそろ失礼します。話題のニノ姫と散歩をする約束をしているので。」
そう言って幸せそうに微笑んだ風早は、さっさと一同を置いて歩み去った。
その足取りはあまりに軽やかで、誰も呼び止めることはできなかった。
「羽張彦は少し風早を見習いな。」
「はぁ?」
「女ってのはああいうマメな男に弱いもんさ。」
もっともらしくそう言って意味ありげにうなずく岩長姫。
そんな師を見て弟子達は顔を見合わせるのだった。
管理人のひとりごと
突然現れた風早に千尋を持っていかれただらしない同門の皆さんの図です(w
岩長姫としては何やってんだいあんた達はってことです(マテ
羽張彦さんはゲーム中、忍人さんの幼少エピソードでちょっと出てきた時、一ノ姫の男の趣味って…と思った管理人でした(’’)
まぁ、豪放磊落なのがいいのかなぁ。
全員が生きていたらこんなふうに楽しそうに話とかするんだろうなという管理人の想像図でした(^^)
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