
サザキは気合が入っていた。
橿原宮から千尋をさらってきて、船で旅すること二ヶ月。
千尋はあっという間にサザキの仲間達になじみ、今ではすっかり『姐さん』として慕われている。
慕われているのだが、サザキには納得いかないことが一つだけあった。
それは既に千尋が『姐さん』と呼ばれてしまっていること。
まだ千尋はサザキの妻になったわけでもなんでもないのに『姐さん』だ。
しかも、何度言ってもみんながその呼び方を改めないので、当の千尋までもうそう呼ばれることに抵抗がなくなってしまっている様子で…
だが、本人は良くてもサザキは納得できなかった。
『姐さん』はサザキの妻を呼ぶときの呼び方のはずだ。
ということは、もう千尋に妻になってもらうしかない!
そう心の中で決意して、サザキは船の中にある千尋の部屋へと向かった。
「ひ、姫さん?いるか?」
「サザキ?どうぞ。」
千尋の返事を聞いてからサザキは深呼吸をして扉を開けると、するりと中へ入って慌てて後ろ手に扉を閉めた。
この前のように邪魔が入ってはたまらない。
こうして扉を閉めてしまえば二人きりだ、今日こそは邪魔などさせない。
「どうしたの?サザキ。」
「お、おう、は、は、話があるんだ。」
「話?珍しいね、サザキがそんな改まって。で、何?」
「えっとな、その…なんだ…姫さんの呼び方の…。」
「それはもういいってば。慣れちゃったし。」
「よくねえって!その…オレがよくねえっつーか…。」
「どうしてサザキがよくないの?」
と小首を傾げる千尋を正面から間近で見てしまって…
サザキはそのあまりの愛らしさに見惚れてしまい…
顔を真っ赤にして口をパクパクしていると背後の扉がノックされた。
「はーい、誰?」
「姐さん!今日は釣りを一緒にやって覚えるって約束ですぜ!みんなもう甲板で姐さん待ってます!」
「あっ!そうだった!ごめん、忘れてたの、すぐに行くね!」
「了解!待ってますんで、急いでくださいよ!」
扉の向こうでバタバタと足音が遠のいていくのが聞こえて、サザキは深い溜め息をついた。
「サザキ、ごめんね。みんなと約束があるの。話、急ぐ?」
「…いや、い、急ぎはしねぇ……。」
「じゃぁ、みんなに釣り教えてもらうことになってるから行くね。」
そう言ってにっこり笑って部屋から出て行く千尋を見送って、サザキはまた深い溜め息をついて、それから慌てて歩き出した。
釣りの練習だかなんだか知らないが、部下達に千尋をとられて黙っている必要はないはずだ。
こうなったら釣りくらいオレが付きっ切りで教えてやる!
とサザキは半ばヤケになって駆け出すのだった。
管理人のひとりごと
サザキさんのプロポーズ大作戦第二弾!やっぱり失敗した編(爆)
これ、しばらく続きそうだな(’’)←けっこう気に入ってる
頑張れ!永遠の少年!って感じです(マテ
いや、サザキ好きですよ、本当に(’’)
ただ、いじめたくなるキャラでもあります(w
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